民法改正で所有者不明土地対策が進展
2020年11月30日
―相続登記義務化、税負担軽減求める
法務省は21年の通常国会で、所有者不明土地対策を多数盛り込んだ民法・不動産登記法の改正法案を提出する。相続登記の放置が所有者不明土地の発生原因になっているため、法改正で義務化。相続登記義務化を見据えて22年度の税制改正では、相続登記の登録免許税に負担軽減策の導入を求める方針。改正法案には所在不明の不動産共有者や相続人がいる場合の共有関係の解消なども盛り込まれる予定で、所有者不明土地対策の具体化が大きく進展する。
所有者不明土地の発生予防だけでなく、民法の共有制度の見直しにより、所有者不明土地を円滑に利用するための様々な仕組みも導入される。調査を尽くしても所在を特定できない共有者がいる場合、他の共有者が金銭を供託することで、不明共有者の不動産持分を取得・売却できる仕組みを創設する。不明共有者がいると、土地の利用について共有者間の意思決定や持分集約が困難になるが、この制度で解消を目指す。また、相続開始から10年を経過して不明相続人がいる場合に、他の相続人が法定相続分に相当する額の金銭を供託して、不明相続人の不動産持分を取得・売却する仕組みも設ける。
砂利道をアスファルトに舗装するといった軽微な変更行為や、5年以内の建物所有目的でない土地の賃貸借(短期使用権の設定)には、共有者全員の同意が必要だが、共有者の持分の過半数でこれらを決定できるようにする。
法務省の法制審議会民法・不動産登記法部会は、今後12月1日・15日に会合を開き、法改正の方向性を詰める。
(提供:日刊不動産経済通信)