新築と中古のマンションの価格差が縮小
2022年11月01日
―東京カンテイ、建替えは東京のみに集中
東京カンテイは10月31日、市況のレポートをまとめた。21年の70㎡のマンションの価格を各都道府県の平均年収で割った年収倍率について、新築と築10年の中古を比較。全国平均は、新築8・93倍で中古6・54倍となり、差が2・39に縮小した。特に東京は、新築14・69倍、中古13・35倍と差はわずか1・34。同社の髙橋雅之・主任研究員は「価格差が縮まると新築の人気が伸び、更に価格が上昇する可能性がある」と話す。全国の建て替え事例282件の検証では、建て替えの63・1%が東京に集中する状況を浮き彫りにした。
新築マンション価格の年収倍率は、三大都市圏は拡大し、首都圏は11・29倍だった。中でも東京都の14・69倍と埼玉県の11・04倍は16年間の最高値を記録。東京都ではペアローンによる購入を前提とした価格水準の常態化がうかがえるとする。近畿圏は前年から0・72拡大して9・86倍と10倍に迫り、中部圏は0・53拡大で8・88倍。愛知県は10・06倍だった。地方圏で10倍を超えたうち青森県や鹿児島県は、在京デベロッパーの高額な物件の供給が影響しているとみられる。
中古マンション価格の年収倍率は、全国で東京都の13・35倍が最高だった。ほかに、リゾートやセカンド需要の強い沖縄県9・70倍、京都府9・01倍を記録した。コロナ禍で軽井沢エリアの物件の人気が高まった長野県も9・82倍に急拡大した。
建て替え事例282件を検証したレポートによると、全体の6割超の178件が東京都となっている。特に、港区と渋谷区は各29件ずつ計58件の建て替えが行われている。髙橋氏は「容積率に余裕がある場合でも、保留床に経済性がないと建て替えの実現は難しい」と分析した。
(提供:日刊不動産経済通信)