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金利上昇の期待利回りへの影響は限定的

2023年09月12日

―三井住友T研、イールドギャップに厚み

 三井住友トラスト基礎研究所は11日、「足元の経済・金融環境と不動産市場」と題したレポートを公表した。レポートでは、日本銀行のイールドカーブコントロール(YCC)を柔軟化した政策の影響について、今後も日本の10年国債金利が1・0%を上回る可能性は低いとして、「不動産期待利回りへの影響については、現在想定される程度の金利上昇であれば、影響は限定的」と分析した。

 YCCの柔軟化から、将来的に撤廃まで至ったとしても、日本経済の潜在成長率の低さなどを考慮に入れると10年国債金利の利率は1・0%に届かないとみている。背景には、金融緩和以降、イールドギャップに厚みがあるため、現在の想定される範囲での金利上昇による影響は限定的とした。三井住友トラスト基礎研究所の推計によると、10年国債金利の上昇幅が0・7%程度に達するまでは、イールドギャップの縮小で吸収でき、期待利回りが大きく変動しない可能性が高いとみている。

 海外からの不動産投資資金の流入は、22年10~12月以降は低下している。米国や欧州を中心に本国の市況悪化から日本への投資を控える動きが出たとみている。一方で円安や低金利に加えて日本のイールドギャップの厚みから、日本への投資意欲は大きく減退していないと捉え、中国や中東、その他アジアからは投資額の増加意向もあるとみている。

 家計消費の動向から、高所得者層をターゲットとした賃貸住宅や商業施設も引き続き堅調な需要が期待されるとした。また、雇用動向の分析では、人手不足の影響で宿泊業の客室供給のボトルネックになる可能性を指摘している。

(提供:日刊不動産経済通信)

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