相続土地国庫帰属制度、3件が国帰属へ
2023年10月25日
─法務省、申請1000件超えの大反響
相続したものの不要な土地を、一定要件のもと国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」で、国への帰属が完了した土地が出始めた。法務省によると、10月24日時点で3件の土地が国に引き取られた。第1号は9月22日に国庫帰属した富山県の土地だった。制度開始前から大きな反響を呼んでいる制度で、現在も全国の法務局への審査申請が殺到している状況だ。
制度開始に先駆けて23年2月22日から受付が開始された相談の件数は、9月末時点で約1万6000件に上る。4月27日に制度が開始されてからは申請が殺到し、9月末時点で申請は1026件となっている。申請された土地の登記上の地目で最も多いのは田畑で約4割。次いで宅地が約3割、山林が約1割。申請対象の所有土地が遠隔地にある、都市部在住者からの申請が多いという。申請理由で多いのは、「遠方に所在するため利用の見込みがない」「処分したいが買い手が見つからない」「子孫に相続問題を引き継がせたくないので権利関係を整理したい」などだ。
同制度は、所有者不明土地の発生を未然に防ぐ対策の一環として創設された。審査手数料は1万4000円で、申請後、審査に通り、10年分の負担金(原則20万円。土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額)を申請者が納付すれば国の引き取りが完了する。
建物がある土地や、他人の利用の予定がある土地、抵当権や賃借権が設定されている土地などは対象外。モラルハザード防止の観点からも利用のハードルは高くなっている。一方で、制度開始前に相続した土地も対象にしていて、数十年前の相続でも対象になる。
(提供:日刊不動産経済通信)