住金機構、融資額の上限引上げを検討
2023年11月02日
─40年超ローンの新商品も開発、PT発足
住宅金融支援機構は、「フラット35」の融資上限額を、現在の8000万円から引き上げる方向で検討に入った。実現すれば、05年以来の引上げになる。住宅価格の高騰が止まらず、現行のままでは所要資金額を十分にカバーしきれないという懸念が強まっていることが背景にある。住宅業界団体からも引上げの要望を受けており、主務省の国土交通省とも相談を始めた。
住宅価格の高騰は首都圏で顕著だ。東京23区内では新築マンションの価格が23年4~9月の平均で1億572万円(前年同期比36・1%増、本社調べ)になった。民間大手行でも融資上限額は上昇傾向にあり、3億円を上限とする金融機関も出ている。融資上限額の引上げについて機構は「フラット35は民間金融機関と提携して提供する住宅ローン。民間金融機関の動きも踏まえながら、ニーズの把握や引き上げた場合の影響も含め、幅広く検討していく状況にきている」(経営企画部広報グループ)との認識を明らかにした。
独立行政法人の立場上、民業圧迫を避ける必要があり、具体的な引上げ額や実施時期の設定には慎重な姿勢で臨む方針。
また、返済期間40年超の超長期住宅ローンの開発のため、8月からプロジェクトチーム(PT)を立ち上げたことも分かった。超長期ローンとしては返済期間50年の「フラット50」があるが、これは長期優良住宅に限定したもの。長期優良住宅でなくても対象になる商品を開発する。30歳代以下の若年層の良質な住宅取得支援が目的。若年層の返済資力が低下していることを考慮し、返済期間は長くても月々の負担が軽減されるものを目指す。
(提供:日刊不動産経済通信)