区分所有法の改正要綱、法務相へ答申
2024年02月16日
―法制審、マンションの管理・再生円滑化
法制審議会(法務相の諮問機関)は15日夕、マンションの建替え要件の緩和などを盛り込んだ区分所有法の改正要綱を、小泉龍司・法務相に答申した。答申を受け法務省は、改正法案の早期国会提出を目指す。
改正要綱は、マンションの管理円滑化を図る方策として、所在不明者を決議の母数から除外する仕組みや、出席者の多数決による決議を可能とする仕組みなどを盛り込んだ。建物の再生円滑化を図る方策としては、耐震性不足など一定要件を満たす場合に、建替え決議要件を4分の3(現行5分の4)に緩和する。建替えと同等の多数決での▽建物・敷地一括売却制度▽建物取壊し制度▽建物を取り壊したうえでの敷地売却制度-も創設する。建替え以外の再生手法のバリエーションを広げる目的だ。これまで全員合意が必要で、事実上不可能だった一棟リノベーション工事も、建替えと同等の多数決で可能にする。
改正要綱には、団地の一部建替え・一括建替えの要件緩和も入った。団地内の一部建替えは、敷地共有者の承認要件(現行4分の3)を満たすことが困難。そこで建替え対象建物が耐震性不足など一定要件を満たす場合に、承認決議要件を3分の2に引き下げる。一括建替え決議は、現行の「全体5分の4・棟ごと3分の2」の賛成要件を、全体要件は一定要件のもと「4分の3」に、各棟要件は「いずれかの棟で建替え反対者が3分の1を超えないこと」に緩和する。
答申に先立ち行われた同日の法制審総会で小泉法相は、「老朽化した区分所有建物が増加しており、その管理・再生の円滑化を図るため、所要の法整備を早急に行う必要があると考えている」と挨拶した(川原隆司・法務次官が代読)。法案の国会提出時期は未定。
(提供:日刊不動産経済通信)