24年地価公示、住・商で20年地価上回る
2024年03月28日
─代表エリアに見るコロナ禍からの脱却
24年地価公示で、地価は全国的に上昇基調を強めた。インバウンド需要を失ったコロナ禍で、地価は21年に軒並み下落したが、24年は下落直前の上昇基調にあった20年の地価を上回る地点が多く出た。国土交通省は、24年の特徴を表のようにまとめている。
住宅地の①の事例の代表として挙げられるのが、東京・中野区の中野駅周辺だ。線路を挟んだ駅の南北で、ともに昨年を上回る概ね7%前後の高い上昇を見せている。南側、駅500mの地点で中規模以上の住宅の多い閑静な住宅地「中野-11」は、+7・5%(前年+5・6%)の上昇。㎡当たりの地価は96・5万円で、コロナ前の20年の同地点の地価82・5万円を上回った。駅北側の「中野-20」は、中小規模の戸建て住宅と共同住宅が混在する地点で、+7・2%(+5・5%)の上昇。地価は㎡当たり80万円で20年の68・6万円を超えた。駅周辺では中野サンプラザの建て替えをはじめ、11の再開発プロジェクトが進行中。20年代後半にかけて順次完成していく予定で、今後もまちの活性化期待による地価上昇が見込まれるエリアだ。
住宅地の②の特徴に当てはまるのは、仙台市の中心部から需要が流れたことで地価が上昇した宮城県富谷市。両市の境界線に近い、仙台市側の地点「仙台泉-21」は、+13・9%(+12・7%)で、宮城県内3位の上昇率。地価は8・6万円(20年5・75万円)だ。この地点に近い富谷市側の「富谷-1」は+13・9%(+13・6%)、地価は8・2万円(20年5・65万円)。仙台市側から少し離れた「富谷-3」は+14・5%(+12・7%)で、仙台市内の他の地点を抑えて宮城県住宅地上昇率1位となった。地価は8・2万円(20年4・82万円)。
住宅地で周辺への強い上昇波及効果を示した仙台市は、商業地の特徴③の代表格でもある。仙台駅前よりも、マンションと競合が強まる宮城野・若林の商業地が高い上昇を示した。「仙台宮城野5-8」は+18・8%(前年も同じ)で、地価は139万円(20年94・5万円)。上昇率は商業地で宮城県1位。「仙台若林5-1」は+16・6%(+16・4%)で県内2位の上昇率。地価は95万円(20年61・5万円)に上昇した。
24年地価公示では、従来の住宅地・商業地とは別に、世界的な半導体メーカーの工場進出による上昇も目立った。熊本県の菊陽町・大津町・合志市(TSMC進出)と、北海道千歳市(ラピダス進出)だ。「熊本大津5-1」は+33・2%(+16・8%)で商業地上昇率全国1位。地価は7・7万円(20年4・65万円)。「千歳-19」は+23・4%(+21・6%)で住宅地上昇率全国2位。双方とも、関連企業も含めた従業員向けの住宅用地取引が旺盛な賃貸需要を受け活況。事務所用地需要も強く、商業地の地価を上昇させた。
(提供:日刊不動産経済通信)