修繕積立金に「適切な引上げ幅」示す
2024年03月29日
―国交省、M標準管理規約の改正も実施
国土交通省は、マンション修繕積立金の段階増額積立方式に、適切な引上げの考え方を示した。毎月均等額を徴収する均等積立方式とした場合の修積金月額を基準額とし、初期額~最終額の範囲を「基準額の0・6倍以上~1・1倍以内」とした。計算上、値上げ上限は約1・8倍までとなる。多くのマンションで採用されている段階増額積立方式は、築年数の経過や区分所有者の高齢化で値上げが困難化する傾向。国交省は適切な幅を示すことで、早期の引上げ完了を促す。
引上げ幅を具体化したことにより、「『考え方』を上回る値上げができなくなるのでは」という誤解が生じないようにする。考え方には、「管理適正化のために現在の修積金の額を大幅に引き上げる等を制限するものではない」と留意事項を併記する。引上げの考え方は、「長期修繕計画作成ガイドライン」「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」などへ速やかに反映し、周知を図っていく方針。また、将来的に適正管理マンションを認定する「管理計画認定制度」の認定基準にも加える。
また、マンション標準管理規約の改正内容についてもまとめた。居住者と建物の2つの老いに伴う所在不明者の発生対応のため、組合員名簿の作成・更新に関する仕組みを設ける。資産価値向上のため、管理に関する情報の見える化も進める。マンション売買時の購入予定者に情報提供する項目に、長期修繕計画上の修積金の変更予定額や、変更時期を加える。社会情勢への対応として、宅配ボックスやEV充電設備の設置工事を行う際の決議要件の考え方も記載する。改正規約は近く国交省ホームページで公表する。
(提供:日刊不動産経済通信)