新築Mは高額化が進み供給エリア厳選へ
2024年04月15日
―三菱UFJ信、建築労務費の負担増影響
三菱UFJ信託銀行は12日、建築費の上昇や日本銀行の政策変更による新築分譲マンション供給への影響のレポートを公表した。消費者とデベロッパーが検討する価格水準の差が開き、新築分譲マンションの供給量が今後も減少傾向の可能性があるとした。不動産コンサルティング部の舩窪芳和ジュニアフェローは「首都圏全体で供給量が減少すると、相対的に都心の高額物件の割合が高くなるのではないか」と話す。
同社の24年1月の調査で、郊外型・ファミリー向けの新築分譲マンションの建築費は坪当たり132万円(施工床ベース)で、2年で36・1%の急上昇だった。建築費の変動する要因は、22年までは資材価格だったが、23年以降は労務費や工事受注量に変化してきており、人手不足は深刻とみられる。また、日銀の政策変更についてデベロッパーが対象の調査から舩窪氏は「住宅ローンの変動金利が0・5%上昇すると供給戸数が減ると7割以上の事業者が予想している。しかし、0・5%の上昇には複数回の利上げが必要とみられる。しばらくは金利水準に大きな変動はない」と予測する。また、マイナス金利の解除という現状の政策変更では変動金利が上昇していないため、新築分譲マンションの販売現場への影響は限定的とした。
新築分譲マンションの供給エリアは今後、首都圏でも都心を中心に厳選が進むとみられる。コスト上昇の販売価格への転嫁が都心以外では難易度が高いため、「近郊・郊外で小さな立地の差にこだわって開発地を選ぶ傾向や、従来は人気が高くない住宅地でも利便性から支持が集まり、土地のポテンシャルが発揮される傾向がある」(舩窪氏)と語った。
(提供:日刊不動産経済通信)