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路線価、全国+2・3%で3年連続上昇

2024年07月02日

─国税庁、能登半島地震受け調整率設定

 国税庁は1日、相続税や贈与税の基準となる24年分の路線価(1月1日時点、標準宅地32万地点)を発表した。全国平均は+2・3%で、昨年の+1・5%を上回り、3年連続で上昇した。都道府県別で上昇率のトップは福岡県で+5・8%(前年+4・5%)。路線価は国土交通省の地価公示の8割程度となるため、傾向は地価公示に近くなる。コロナ禍を脱し、人流が回復したことで全国的に上昇率は拡大傾向となった。

 路線価が上昇した都道府県の数は29(前年25)に増え、下落した府県は16(20)に減少した。上昇率が5%以上10%未満の高い上昇を示した都道府県の数は5(北海道、宮城県、東京都、福岡県、沖縄県)となり、前年の1(北海道)から増えている。都道府県庁所在都市で最高路線価が上昇した都市の数は37都市(前年29都市)、横ばい9都市(13都市)、下落1都市(4都市)。上昇率10%以上の都市は昨年ゼロだったが、今年はさいたま市、千葉市の2都市が入った。

 最高路線価の上昇率で全国トップだったのは千葉市中央区富士見2丁目の「千葉駅東口駅前広場」で+14・9%(地点変更により23年分との比較なし)。路線価の価額で全国最高地点は東京・中央区銀座5丁目の銀座中央通り(鳩居堂前)で、1㎡当たり4424万円(前年比+3・6%)。39年連続で路線価全国トップとなった。同地点の最高額は20年の4592万円。

 全国の税務署別で路線価の上昇率トップは、白馬村が管内にある長野県の大町税務署で+32・1%。次いで熊本県の菊池税務署が+24・0%だった。世界的な半導体メーカーTSMCが進出した菊陽町がある。

 東京国税局管内では、74地点で上昇(前年72地点)、5地点で横ばい(11地点)、下落は3地点(0地点)。路線価の最高地点は、千葉県は「船橋市本町1丁目」で㎡当たり260万円。東京都区部は前出の鳩居堂前、多摩地域は「武蔵野市吉祥寺本町1丁目」で620万円。

 また、能登半島地震が特定非常災害に指定されたことを受け、国税庁は石川県・富山県・新潟県に対して、相続税・贈与税の計算の特例「調整率」を設けた。調整率は県別・地目別に異なる。①23年2月28日~12月31日に相続等で取得した土地等②23年1月1日~12月31日に贈与で取得した土地等─が対象。路線価に一定の調整率を掛けて評価額を引き下げ、税負担を軽減する。調整率の設定は20年7月豪雨以来。

 24年の路線価に対し、業界からは次のようなコメントが寄せられた。


 吉田淳一・不動産協会理事長 今回の路線価では、標準宅地の評価基準額の対前年変動率の全国平均が3年連続で上昇した。上昇率は前年よりも拡大し、下落が続く地域でもそのほとんどで下落幅が縮小するなど、日本経済の緩やかな回復が地価に反映された。一方、ウクライナや不安定な中東情勢などを背景とした資源・エネルギー価格の動向、金利・為替の変動、海外経済の下振れ懸念など、経済の先行きは非常に不透明で、今後の地価動向を注視する必要がある。

 坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 都道府県ごとの評価基準額では16県が下落して2極化が顕著だ。16県の空き家率は、住宅・土地統計調査の全国平均13・8%をいずれも上回っている。国土交通省から「不動産業による空家対策推進プログラム」が発表され、宅建業者を通じた流通活性化で空き家対策を推進している。ハトマークグループは、宅建協会への空き家の管理活用支援法人指定への支援や空き家相談体制の整備、担い手の育成で空き家等の解消と全国的な地域活性化に取り組む。

 中村裕昌・全日本不動産協会理事長 24年の路線価は、評価基準額の対前年変動率の全国平均値が3年連続で上昇し、かつ上昇率も上向いた。都道府県庁所在都市の最高路線価も上昇は37都市と前年より増加し、下落が1都市に減って地価の回復基調を示した。1日から報酬額改正告示の施行など国土交通省も空き家対策プログラムを打ち立てて傾注し、空き家等の利活用と地方創生は密接な関係を持つ。全日ならではの全国の成功事例の横展開など空き家対策を推進する。

(提供:日刊不動産経済通信)

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