ローン市況に柔軟な対応ができる体制へ
2024年07月03日
―SBIアルヒ・伊久間新社長が事業戦略
6月21日にSBIアルヒの代表取締役社長CEO兼COOに就任した伊久間努氏は、本紙の取材に応じ、「SBIグループとの連携で信用を強化しながら、在任中に史上最高益まで再成長させることが使命」と強調した。再成長に向けた事業戦略について「利用者の視点に立った使い勝手の良さを追い求める。住宅ローン審査の速度や正確性で不動産会社から幅広く支持され、多様な層の顧客を獲得して、市場の流れに乗ることができる柔軟な体制を構築する」と語った。
現在の住宅ローン市況について伊久間氏は「金利が上昇する局面で、厳しい環境に入った」と認識する。国内で最大の取り扱い規模を誇るフラット35が核となる事業という点は変わらないが、23年に投入して好調な変動金利型の住宅ローン商品も含めて、「モーゲージ・バンクとして企業全体の収益構造を組み立てる」と話す。24年度の業績について「劇的な浮上の兆しは見えてこない」としながらも、「住宅ローンで変動を選ぶか、固定を選ぶかといった話題が増えて関心が高まっていることは好材料」として、「長期と短期の金利差が縮まってくれば、これまで得意としてきたフラット35商品が伸びてくるチャンス」と捉えている。
住宅市場に関しては「住宅の取得者が多様になってきた。中古の比率は上昇し、今後も新築の市場が大きく伸びることはないだろう」と話す。「シングルや若年層の50年ローンによる購入なども増えてきた。事業機会を幅広く捉えて顧客層を拡大し、柔軟性も強化する」として、今後はフランチャイズを生かした全国の店舗網の拡充などにも取り組む。
(提供:日刊不動産経済通信)