24年都道府県地価調査、3年連続上昇
2024年09月18日
─国交省、地方その他32年ぶりに下落脱す
国土交通省は17日、24年の都道府県地価調査(7月1日時点、調査地点2万1436地点)の結果を公表した(表)。全国の地価の平均は+1・4%(前年+1・0%)、住宅地は+0・9%(+0・7%)、商業地は+2・4%(+1・5%)となった。全用途平均、住宅地、商業地は3年連続で上昇となり、上昇率も前年度を上回った。地方圏は、「地方4市」の勢いに一服感が出た一方、その他地域の全用途平均が+0・2%(0・0%)で32年ぶりに上昇に転じるなど、地価回復は全国に波及した。
全国の約半数の44・8%の地点がコロナ前の価格(19年)を上回った。三大都市圏では78・4%、地方圏では31・5%の地点がコロナ前価格を上回っている。三大都市圏の全用途平均は4年連続、住宅地は3年連続、商業地は12年連続の上昇で、それぞれ上昇幅も前年から拡大した。特に大都市圏の中心部では、住宅地の上昇が強まっている。東京23区、大阪市、京都市、神戸市の住宅地にその傾向がみられる。顕著な例は東京・新宿区。神楽坂・飯田橋に近い中高層マンションエリアの「新宿―11」は、変動率が東京圏住宅地1位の+17・1%(前年+4・9%)となり、昨年を大幅に上回る上昇を示した。周辺では利便性の高い戸建てエリアの東新宿の「新宿―2」も+15・1%(+4・7%)の上昇。7月時点では低金利環境の継続で住宅需要が堅調であることを示した。
商業地は、「外国人を含む観光客の回復」「マンション需要と競合するエリア」「再開発事業が進展している」などの要素が地価を上昇させた。マンション需要との競合による地価上昇が目立ったのは、大阪圏・大阪市西区。御堂筋沿い西側のオフィス・店舗が立ち並ぶエリアにある「西5―2」は+20・0%(+10・3%)となり、変動率で大阪圏商業地7位。近くの地点「西5―6」も+19・0%(+9・6%)となるなど、周辺地点は軒並み20%近く上昇した。
◎札幌市、住宅需要の減退がさらに進む
札幌・仙台・広島・福岡の「地方4市」のうち、札幌市に昨年までの勢いがなくなった。札幌市の住宅地は+3・6%(+12・5%)、商業地は+7・6%(+11・9%)。市中心部の住宅価格が地価・建築費の上昇で高騰したことから、「住宅需要が減退している。マンションは中間層向けに売れ残りの傾向」(国交省)。札幌市のこの傾向は3月の地価公示(基準日=1月1日)でも示されていたが、地価公示の札幌市住宅地は+8・4%(+15・0%)であり、住宅需要減退はより進んだとみられる。周辺市の住宅地も、上昇率は縮小した。江別市+3・6%(+18・3%)、恵庭市+6・8%(+24・8%)、北広島市+3・4%(+23・2%)、石狩市+1・8%(+8・8%)。
(提供:日刊不動産経済通信)