東京は9年連続3位、外需依存に課題も
2024年12月11日
―森ビル都市力調査、上位5位変動なく
森ビルの森記念財団・都市戦略研究所(所長=竹中平蔵・慶應義塾大学名誉教授)は10日、毎年まとめている「世界の都市総合力ランキング」(GPCI)の24年版を発表した。コロナ禍の収束で経済や人の行き来が回復した影響が結果に色濃く反映された。上位5都市に変動はなく、首位ロンドン、次点ニューヨークに続き東京は9回連続で3位に付けた。東京は円安を追い風に訪日客数が増え、ホテルや交通、文化・交流施設の充実度などが加点要素になった。一方、GDPなど経済面の評価は振るわず、事業創造や人材育成・誘致を促す環境整備の必要性が課題として浮かんだ。
調査は08年に開始し今年で17年目。今回は3位の東京と4位のパリ、5位のシンガポールが評点を大きく伸ばし、ニューヨークとの差を縮めた。3都市とも外国人訪問者数やホテル環境など文化交流面の評価が高まり、ランクを上げた。東京は項目別評価で経済が10位、環境が18位と低位だが、研究・開発と文化・交流、居住がいずれも3位だった。日本の都市では大阪(35位)、福岡(42位)も入選した。集計などを手掛けた市川宏雄・明治大学名誉教授は「福岡は独自に海外とつながっているのが強みで、国内では東京に次いで発展しそうだ」としている。
従来の都市総合力ランキングでは経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で評価してきたが、前回から「金融」分野を加えた番付も公表。金融分野の評価を加味しても東京は3位だが、評点は120・8と、首位ニューヨーク(評点224・4)、次点ロンドン(207・8)との間に大差がある。東京は「大手保険会社本店」と「世界首位年金ファンド」の項目で1位だった。
(提供:日刊不動産経済通信)