Ⅱ. マイホーム売却時の税金
譲渡所得の税率と確定申告、短期譲渡所得と長期譲渡所得の所有期間と税率の違い
更新日:2024年9月25日
⑤税率
不動産の譲渡所得は、その不動産の所有期間に応じて「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に区分されます。短期譲渡所得に比べ長期譲渡所得の方が税金の計算上優遇されており、所有期間に応じ税率が変わります。国税には復興税2.1%が加算されています。
区分 | 短期 | 長期 | |
---|---|---|---|
譲渡年の1月1日 現在の所有期間 |
5年以下 | 5年超 | 10年超 |
居住用財産 | 39.63% | 20.315% |
①3,000万円控除後の譲渡所得金額6,000万円以下の部分 14.21% ②3,000万円控除後の譲渡所得金額6,000万円超の部分 20.315% |
その他 | 39.63% | 20.315% |
- お正月を6回越えると長期譲渡所得となります。
- 税率の内訳は39.63%が所得税30.63%・住民税9%、20.315%が所得税15.315%・住民税5%、14.21%が所得10.21%・住民税4%です。
所有期間の判定
令和元(2019)年8月1日に取得した資産を令和6(2024)年9月30日に譲渡した場合には長期譲渡所得となるのでしょうか。
実際の所有期間は5年2ヶ月ですが、譲渡所得に係る税金の計算上の所有期間は譲渡の日の属する年の1月1日現在で判定を行います。つまり、令和元(2019)年8月1日から令和6(2024)年1月1日までの所有期間となりますので、所有期間は4年5ヶ月であり、短期譲渡所得となります。取得後お正月を6度迎えてからの譲渡でなければ、長期譲渡所得とはなりません。
⑥取得の日と譲渡の日
譲渡資産の所有期間は取得の日と譲渡の日で計算されます。この取得の日及び譲渡の日とは原則として不動産の引渡日(例えば、マンションの鍵の引渡の日など)ですが、新築家屋以外は、引渡日又は契約効力発生の日のいずれかを選択とすることができます。
区分 | 取得の日又は譲渡の日 |
---|---|
新築家屋(契約時に建物が存しない場合) | 引渡日 |
上記以外 | 引渡日又は契約効力発生日 |
短期譲渡所得か長期譲渡所得か
中古で取得した居住用財産を売却しました。最も有利になるような「取得の日」と「譲渡の日」を教えてください。
購入の契約日:平成30(2018)年12月1日 購入の引渡日:平成31(2019)年1月20日
売却の契約日:令和5(2023)年12月20日 売却の引渡日:令和6(2024)年1月31日
契約日(平成30(2018)年12月1日)を「取得の日」とし、引渡日(令和6(2024)年1月31日)を「譲渡の日」とした場合には、長期譲渡所得となります。
⑦確定申告と納税
所得税の申告は、その年の翌年2月16日から3月15日までに、納税地の税務署に所得税の確定申告書を提出し、3月15日までにその申告により計算した所得税を納付します。納付は銀行や郵便局などで直接振込む方法と、税金の引き落とし口座に関する書面を申告書とともに提出し、振替納税を選択する方法があります。直接振り込む場合には3月15日までに納税が必要ですが、振替納税を利用する場合には、税金の引き落としは約1ヶ月先の4月中旬頃に行われます。
住民税については別途申告書を提出する必要はありません。所得税の確定申告書を税務署に提出すると、その内容を税務署がその納税地の市区町村に連絡します。その情報に基づき市区町村は住民税を算出します。住民税の納付は所得税と違い、納付書は市区町村から送られてきますので、その納付書に従ってその年の翌年5月以降4回に分けて納付します。