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目次

Ⅴ.消費税

不動産取引、不動産売買に係る消費税について

更新日:2024年9月25日

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税で、消費者が負担し事業者が納付します。

①消費税の課税される取引

 消費税は①国内において②事業者が反復継続して③対価を得て行う④資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に課税されます。したがって、国外における取引や個人の方が行う自宅の売却などは消費税が課税されません。

消費税の課税される取引 消費税の課税されない取引
  • 店舗や事務所の家賃、礼金、更新料
  • 駐車場の地代
  • 一定の建物の売買代金(下記2参照)
  • 仲介手数料
  • 測量代
  • 登記に係る司法書士の報酬など
  • 住居の家賃、礼金、更新料
  • 更地の地代
  • 土地・借地権の売買代金
  • 登記に係る登録免許税
  • 支払利息
  • 損害保険料など

②不動産の売買に係る消費税の課税関係

 不動産を売買した場合に課税される消費税は、資産の種類や用途、個人や会社などの区分によって課税関係が変化します。これらを整理すると次のようになります。

用途等 売主 建物 土地
自宅
(家事用資産)
事務所・店舗
(事業用資産)
自宅
(事業用資産)
事務所・店舗
(事業用資産)
個人 課税事業者 課税なし 課税あり 課税なし 課税なし
免税事業者 課税なし 課税なし 課税なし 課税なし
会社 課税事業者 課税あり 課税なし
免税事業者 課税なし 課税なし

③課税事業者と免税事業者

 納税義務者は、国内取引を行う事業者で、個人事業者と法人です。事業者のうち免税事業者は納税義務が免除されるため、免税事業者以外の課税事業者が消費税を納める義務を負います。免税事業者であっても適格請求書(インボイス)発行事業者を選択すると課税事業者となります。

国内取引の納税義務者 内 容
課税事業者 個人事業者 (1)前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円超
(2)前年1月~6月までの課税売上高又は給与等支払額が1,000万円超
法 人 (1)前々期(基準期間)の課税売上高が1,000万円超
(2)前期開始から6ヶ月間の課税売上高又は給与等支払額が1,000万円超
免税事業者 個人事業者 (1)前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下
(2)前年1月~6月までの課税売上高及び給与等支払額が1,000万円以下
法 人 (1)前々期(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下
(2)前期開始から6ヶ月間の課税売上高及び給与等支払額が1,000万円以下

④消費税の税率

期間 税率
平成元(1989)年4月1日から平成9(1997)年3月31日 3%
平成9(1997)年4月1日から平成26(2014)年3月31日 5%
平成26(2014)年4月1日から令和元(2019)年9月30日 8%
令和元(2019)年10月1日から 10%

⑤適格請求書(インボイス)発行事業者の選択について

 令和5(2023)年10月1日より原則として適格請求書(インボイス)発行事業者への消費税の支払いのみが、消費税の納税額の計算上控除(仕入税 額控除)の対象となります。ただし、インボイス発行事業者以外への消費税の支払いも令和5(2023)年10月1日から令和8(2026)年9月30日までは8割 を控除、令和8(2026)年10月1日から令和11(2029)年9月30日までは5割を控除することができます。
 なお、インボイス発行事業者になるためには、一定の届出書を税務署に提出しなければなりません。店舗、事務所、駐車場など消費税が課税される賃料を受け取っている事業者は、インボイス発行事業者になるか選択しなければなりません。課税事業者は、インボイス発行事業者を選択すべきですが、免税事業者がインボイス発行事業者を選択しない場合には、賃借人の消費税の納税額が増加するため、賃料の値下げなどの要求がある可能性もあります。免税事業者が適格請求書発行事業者になった場合には、一定期間受け取った消費税の2割だけ納付する特例があります。