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令和6(2024)年度税制改正ポイント

2024年9月25日

 令和6(2024)年4 月1 日現在の交付法令に基づく、住まいの税金に関する令和6(2024)年から施行される税制改正は次のとおりです。同日以後の政令等の交付による変更等には対応しておりません。詳細な内容については税理士に確認をお願いいたします。

①所得税・住民税

1.住宅ローン控除の借入限度額および床面積要件の維持(要件変更)

  1. 子育て世帯・若者夫婦世帯の借入金限度額の維持
    子育て世帯・若者夫婦世帯(18歳以下の扶養親族を有する世帯または夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)が令和6(2024)年1月1日から同年12月31日までに入居する場合の認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅の新築等をした場合に係る借入限度額については、令和5(2023)年の借入限度額が維持されます。
  2. 床面積要件の維持
    認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅の新築等をした場合、令和6(2024)年12月31日までに建築確認を受けたものについては床面積要件を40㎡以上(合計所得金額1,000万円以下の場合に限る。)とされます。
控除率:0.7% 入居年
R4(2022)年 R5(2023)年 R6(2024)年 R7(2025)年
与党大綱
R7(2025)年度税制改正にて
R6(2024)と同様の方向性で検討
借入限度額 新築住宅・買取再販 長期優良住宅・
低炭素住宅
5,000万円 4,500万円
子育て世帯・若者夫婦世帯※
:5,000万円【今回改正内容】
4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
子育て世帯・若者夫婦世帯※
:4,500万円【今回改正内容】
3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
子育て世帯・若者夫婦世帯※
:4,000万円【今回改正内容】
3,000万円
その他の住宅 3,000万円 買取再販と新築住宅
(①R5(2023)年12月までに建築確認、
②R6(2024)年6月までに建築されたもの)は
2,000万円、それ以外は0円
既存住宅 長期優良住宅・
低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円
その他の住宅 2,000万円
控除
期間
新築住宅・買取再販 13年(「その他の住宅」は、R6(2024)年以降の入居の場合、10年)
既存住宅 10年
所得要件 2,000万円
床面積要件 50㎡以上 (新築の認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の場合で、
R6(2024)年中に建築確認:40㎡ 以上【今回改正内容】
(所得要件:1,000万円以下))

与党大綱

R7(2025)年度税制改正にて
R6(2024)と同様の方向性で検討

「18歳以下の扶養親族を有する世帯」又は「夫婦のいずれかが39歳以下の世帯」

(年齢は年末で判定)

出典:国土交通省HP(一部修正)

2.認定住宅等の新築等をした場合の所得税額の特別控除(延長、要件変更)

 合計所得要件を2,000万円(改正前3,000万円)以下に引き下げた上で令和7(2025)年12月31日まで2年間延長されます。

控除額

標準的な性能強化費相当額※×10%※45,300円×床面積(上限:650万円)

取得する住宅の要件

長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅のいずれかに該当すること。

所得要件

合計所得金額が 2,000万円以下

3.特定居住用財産の買換えの特例(延長)

 令和7(2025)年12月31日まで2年間延長されます。

4.居住用財産の買換え等の場合および特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(延長)

 令和7(2025)年12月31日まで2年間延長されます。

5.相続空き家の 3,000 万円特別控除(延長、要件変更)~令和5(2023)年度改正~

改正前 令和6(2024)年1月1日以後の譲渡
適用要件
  • 適用期間
  • 平成 28(2016)年4月1日から令和5(2023)年
    12月31日までの期間内の譲渡

  • 譲渡形態
    次のいずれかに該当するものであること
  1. 空家を新耐震基準に適合するようにリフォーム
    して敷地とともに譲渡する場合
  2. 空家を取壊し、敷地のみを譲渡する場合
  • 適用期間
  • 平成 28(2016)年4月1日から令和9(2027)年
    12月31日
    までの期間内の譲渡

  • 譲渡形態
    被相続人居住用家屋が譲渡時から譲渡年の翌年2月
    15日までに次のいずれかに該当すること
  1. 新耐震基準に適合することとなった場合
  2. 全部が取壊された場合
取扱い 相続人1人あたり譲渡益から 3,000 万円(譲渡益
限度)を控除します。
相続人1人あたり譲渡益から3,000万円(譲渡益限度)を
控除します。被相続人居住用家屋等を相続等した相続人の
数が3人以上の場合には、1人あたり2,000万円となります。

②贈与税・相続税

1.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置(延長、要件変更)

 新築住宅に係る省エネ等住宅の要件の一部を引き上げ、令和8(2026)年12月31日まで3年間延長されます。

①非課税限度額

省エネ等住宅 一般住宅
1,000万円 500万円

②省エネ等住宅の要件

改正前 改正後
新築住宅
  1. 断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等
    級4以上
  2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震
    建築物
  3. 高齢者等配慮対策等級(専有部分)3以上
  1. 断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6以上
  2. 令和5(2023)年年末までに建築確認を受けた住宅又は令和6
    (2024)年6月30日までに建築された住宅は、断熱等性能等
    級4又は一次エネルギー消費量等級4以上

  3. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震
    建築物
  4. 高齢者等配慮対策等級(専有部分)3以上
中古住宅・
増改築
  1. 断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等
    級4以上
  2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震
    建築物
  3. 高齢者等配慮対策等級(専有部分)3以上

2 .相続時精算課税の住宅取得等資金の特例(延長)

親の年齢が60歳未満であっても相続時精算課税制度を選択できる住宅取得等資金の特例措置についても、令和8(2026)年12月31日まで3年間延長されます。

3. 相続時精算課税(取扱い変更)~令和5(2023)年度改正~

令和6(2024)年1月1日から相続時精算課税にも年110万円(相続開始前7年以内の贈与についても、相続財産への加算は不要です)の基礎控除が設けられました。また、適用対象の贈与財産が土地や建物である場合に、令和6(2024)年1月1日以後に発生した災害によって一定の被害を受けた際には、相続時の評価額の再計算が可能になりました。

改正前 令和6(2024)年1月1日以後の贈与
贈与税額 (贈与財産の価額-2500万円(累積))×20% (贈与財産の価額-毎年110万円-2500万円(累積))
×20%
申告義務 相続時精算課税の適用後の贈与についてはすべて
申告が必要。
相続時精算課税の適用後の贈与についてはすべて
申告が必要。ただし、贈与財産が年間110万円以下の
場合には申告不要。
相続時加算 相続時精算課税の適用後のすべての贈与財産を
相続財産へ加算しなければなりません。
相続時精算課税の適用後のすべての贈与財産から
年110万円の基礎控除を控除した額を相続財産へ
加算しなければなりません。
加算時評価額 贈与時の相続税評価額 原則として贈与時の相続税評価額ですが、土地・建物
が災害によって被害を受けた場合には、相続時に再
評価をすることが可能です。

4.生前贈与加算(取扱い変更)~令和5(2023)年度改正~

 相続開始前3年以内の暦年贈与を受けていた場合、それらは相続財産に加算されていました。しかし、令和6(2024)年1月1日 以降の贈与については、相続開始前7年以内の贈与財産を相続財産に加算する必要があります。ただし、延長された4年間
(相続開始前3年を超え7年以内)における贈与については、合計100万円までは加算されないこととなりました。

改正前 令和6(2024)年1月1日以後の贈与
加算対象財産 相続開始前3年以内の被相続人からの暦年贈与財産 相続開始前7年以内の被相続人からの暦年贈与
財産。ただし、3年超7年以内の暦年贈与財産の合計
額から100万円を引いた残額が加算されます。

5.居住用の区分所有財産(分譲マンション)の相続税評価額~令和5(2023)年度改正~

 令和6(2024)年1月1日から、居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)の評価方法が変更されました。分譲マンションの相続税評価額は、これまでの取引時価の約40%の水準から60%の水準へと引き上げられました。
 居住用の区分所有財産が貸家及び貸家建付地である場合のその貸家及び貸家建付地の評価並びに小規模宅地等の特例の適用については、改正後の評価額を基に行うこととなります。

改正前 令和6(2024)年1月1日以降
  1. 家屋
    家屋の固定資産税×1.0
  2. 土地
    路線価を基とした1㎡当たりの価額×地積×敷地権割合
    (固定資産税評価額×評価倍率)
  1. 家屋
    改正前の評価額×区分所有補正率※
  2. 土地
    改正前の評価額×区分所有補正率※

区分所有補正率は、築年数、総階数指数、所在階、敷地持分狭小度を基に計算されます。この補正率は、国税庁ホームページに掲載されている「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」を使用することで、容易に算出することが可能です。(P114参照)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hyoka/annai/1470-17.htm

③印紙税

工事請負契約書及び不動産譲渡契約書の印紙税の軽減措置(延長)

令和9(2027)年3月31日まで3年間延長されます。

④登録免許税

1.住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の軽減(延長)

 令和9(2027)年3月31日まで3年間延長されます。

2.個人が買取再販住宅を取得した場合の登録免許税の軽減(延長)

 令和9(2027)年3月31日まで3年間延長されます。

3.認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に係る登録免許税の軽減(延長)

 令和9(2027)年3月31日まで3年間延長されます。

4.認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に係る登録免許税の軽減(延長)

 令和9(2027)年3月31日まで3年間延長されます。

⑤不動産取得税

1.宅地の不動産取得税の課税標準を2分の1にする措置(延長)

 令和9(2027)年3月31日まで3年間延長されます。

2.住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の税率の軽減措置(延長)

 令和9(2027)年3月31日まで3年間延長されます。

3.宅建業者等が取得する新築住宅に係るみなし取得時期の特例(延長)

 令和9(2026)年3月31日まで2年間延長されます。

4.住宅用土地の先行取得に係る新築期間要件の特例(延長)

 令和9(2026)年3月31日まで2年間延長されます。

5.認定長期優良住宅の新築の場合の不動産取得税の軽減措置(延長)

 令和9(2026)年3月31日まで2年間延長されます。

⑥固定資産税

1.新築住宅の場合の固定資産税の軽減措置(延長)

 令和8(2026)年3月31日まで2年間延長されます。

2.耐震改修等をした場合の固定資産税の軽減措置(延長)

 令和8(2026)年3月31日まで2年間延長されます。

3.固定資産税・都市計画税の負担軽減措置(延長)

 令和8(2026)年3月31日まで2年間延長されます。

4.新築の認定長期優良住宅に係る固定資産税の減額措置(延長、要件変更)

 令和8(2026)年3月31日まで2年間延長されます。申告手続きについては、マンション管理組合などから市町村長へ必要書類の提出があった場合、区分所有者の申告書が提出されていなくても、特例の適用を受けられるものとされます。