前賃借人が残置した設備の不具合と説明責任について教えてください。
Q.ご相談内容
現在の物件に2017年12月に入居しました。
物件案内の紙には『給湯、バルコニー、温水洗浄便座、南向き、バランス釜・・・』と書かれていました。
入居し、元々付きが悪く2週間も経たないうちにキッチンの瞬間湯沸かし器のお湯が全く出なくなってしまったので、当時不動産会社に「壊れているので修理をお願いします」と連絡を入れたところ、「前の住人が置いていったものなので対応いたしかねます、使いたいなら御自分で依頼してください」と言われました。
内見の時に「瞬間湯沸かしがついていていいですね」というような内容の事を不動産会社の人が言ったのと、物件案内の紙に冒頭に書いたように給湯とバランス釜が離れて書いてあるので、給湯はキッチンの瞬間湯沸かし器の事だと思って当然不動産会社管理の物だと思っていましたが、改めてその段階で確認すると契約書の重要事項説明書には『給湯ナシ』となっていました。
はじめから瞬間湯沸かしがついていない物件だったら別の物件にしていたのに、契約書を書き進めていってはじめて重要事項説明書を手にしたわけですし、なんだか納得がいきません。
(仮にその時点で気づいてキャンセルしていたらキャンセル料も発生していましたし)
長期でここに住むのなら自己負担(5万前後)で取り付けも検討しますが、あと、1〜2年で転居予定です。
*物件案内と重要事項説明書の違いに問題は無いのか
*残存設備の確認もせず、壊れている瞬間湯沸かしの放置
*もし私が依頼した場合、希望は8割ほど不動産会社負担して貰えるようなお願いは可能か
*退去時に買い取ってもらえるようにお願いは出来るか、
その場合はかかった総額の何割程度で買い取ってもらえるのが一般的か
*納得いかないが、自己負担で取り付けた場合、壊れている物を取り外すことになりますが、
取り外し費用は不動産会社に負担してもらえるか
*退去時、新しいものを撤去し古いものをまた取り付けておかないといけないのか、
古いものを保管しておかないといけないのか
*その他 私が出来る事
A.東急リバブルからの回答
①説明が異なるという場合には、宅建業法上の説明義務違反が問題になります。
しかし、説明内容はあくまでも重要事項に書いてある事項になりますので、重要事項説明書と事実の状態が一致している場合には、説明義務違反を問うのは難しくなります。
あとは、物件案内時にいわれたという説明内容が、たとえば物件図面にも記載がある、メールなど説明内容の証跡が残っている、こういったことが無いと難しいと思います。
②賃貸借契約期間が満了する際に借主は部屋を元の状態に戻す必要がございます。よって残置物がある場合の責任は前借主にあるかと思われます。
しかし残置物をそのままにして、次の賃貸人に当該物件を貸し出した場合は、貸主が残置物を引受けたと判断される可能性がございますが、ご相談の契約は約4年前にて締結されていますので、設置責任を貸主に請求するのは難しいかと思われます。
③賃貸人が残置物を引受けた場合において、残置物の修繕義務は借主の負担となりますが、本件では重要事項説明書で『ナシ』とされており、不動産会社が修繕は借主様で行うように主張してますので、修繕費用を負担してもらうのは難しいかと思われます。
④退去時に湯沸し器が存在することにより、賃貸人が次の賃借人に当該物件を貸す際の賃料が上がる場合は、賃貸人のメリットとなりますので、賃貸人に湯沸し器を取り付けた金額か当該物件の賃料の増額分を請求できる可能性がございます。しかしどちらを支払うかは貸主が選択するものとされていますのでご注意ください。
⑤及び⑥ 現在の湯沸し器の所有者は賃貸人となっていますので、賃貸人に無断で捨てることはできません。よって取り外す際は必ず事前に賃貸人に確認し、その際に費用負担も確認なさってください。
⑦重要事項説明書に残置物の交換について記載がされている場合がございますので、ご確認なさってください。今回の管理会社との交渉は、「瞬間湯沸かし器がついていなければ別の物件にしていた」ということを契約当時の不動産会社がわかっていたかどうかが重要なポイントです。
それを不動産会社に話をして、話をしたことがわかるもの(一番良いのはメールです)が残っているのであれば、ある程度交渉は有利に進められます。
ただ、それがない場合には、重要事項説明に給湯なしとなっているだけに、交渉は残念ながら難航すると思います。
ご相談への回答について
「不動産なんでもネット相談室」は、実際にお客様より相談いただいた内容に、東急リバブルが中立的な視点で回答した内容を記載しております。不動産に関してご不明点がありましたらご参考ください。