保証金名下の敷金の約定されていない償却について教えてください。
Q.ご相談内容
学生の子供が一年程度賃貸契約を結んでいた物件について敷金として預けているお金が戻ってくると思っていましたが、その旨申し出たところ預けていたのは敷金ではなく、保証金であり、保証金は全額償却との説明を受けました。
契約書には敷金というコトバではなく保証金 賃料1ヶ月相当分という記載になっていますが全額償却であることは書かれておらず、
(敷金)
第6条 乙は、本契約から生じる債務の担保として、頭書(3)に記載する敷金を甲に預け入れるものとする。
2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺をすることができない。
3 甲は、本物件の明け渡し時に、賃料の滞納、第14条に規定する原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。
4 前項ただし書の場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。
と、敷金についての記載はあるのですが保証金=敷金ではないですか?
イコールではなかったとして、全額償却と契約書に書かれていない場合はどうなるのが一般的でしょうか?
貸主は募集をかけたホームページに保証金は全額償却と載せているし、これまでの何人かの退去者にも支払ったことはないと言っていますが、貸主は賃貸物件を扱うのが、本物件を新築して初めてだったので契約書に漏れがあるのでは?と思っています。
ホームページに記載があるが、契約書に載ってない場合についてはどのような扱いになるのか教えていただきたいです。
A.東急リバブルからの回答
法的には敷金という言葉が何を指すのかという明確な定義はなく(民法改正で初めて法律上の定義が行われます)、地域によって、敷金、保証金などの名称がございます。つまり保証金という文言がすべて全額償却を意味する金額ということは全くございません。全額償却ということであれば、礼金や権利金という項目が利用されることが一般的です。
また、ホームページにどうのせようが、賃貸借契約書にのっていなければ、それは法的には何らの義務にはなりません。
契約書に書かれていないのであれば、敷金を何らの根拠なく全額償却してしまうのは、明らかな違法行為です。
過去の退去者に支払ったことがあるかどうかといった事実は、まったく関係はなく、あくまで賃貸借契約のみが、賃貸人と賃借人の権利義務関係を定めることになります。
ついては、なかなか交渉がうまくいかないようであれば、無料法律相談や、行政などになる賃貸トラブルの相談窓口などを利用されて、対応を検討されてはいかがでしょうか。
なお、敷金償却については、契約書の条文に記載されることは少なく、契約書の最初にある条件を記載する頭書きの部分に書かれていることが多いので、念のため、再度契約書の内容はご確認ください。
ご相談への回答について
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