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地積測量図とは?取得方法や確定測量図との違いを解説

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • 地積測量図とは、土地の面積がわかる公的な書類の1つ
  • 土地の売買時には「確定測量図」を作成するのが一般的

不動産取引において、隣接地との境界を正確に把握することは、将来的なトラブルを防ぐうえで非常に重要です。境界確認に用いられる主要な書類の一つが「地積測量図」です。しかし、土地の測量に関する書類は地積測量図だけではありません。確定測量図や現況測量図など、他にも複数の測量図が存在します。

そこで本記事では、地積測量図から得られる情報や確定測量図との相違点などを詳しく解説します。

地積測量図とは土地の面積がわかる公的な書類

「地積」とは土地の面積を指します。地積測量図とは、土地の面積の測量結果を明らかにした公的な図面です。

すべての土地に地積測量図があるわけではない

地積測量図は、すべての土地にあるわけではありません。作成されるタイミングは、次の3つです。

  • 1筆の土地を複数の土地に分割する「分筆登記」
  • 登記簿に記載されている土地面積を正確な面積に修正する「地積更正登記」
  • 新たな土地を登記簿に記載する「土地表題登記」

地積測量図は、上記の登記申請時に作成し申請書類として添付が求められますが、地積測量図の添付が必要になったのは1959年以降のことです。そのため、これ以降、分筆や地積更正、表題登記がされていない土地は、地積測量図が存在しないケースがあるのです。

地積測量図と確定測量図・現況測量図の違い

土地の面積を示した測量図は、地積測量図だけではありません。「確定測量図」や「現況測量図」も測量結果が記載された図面ですが、次のような違いがあります。

まず、確定測量図は隣地の所有者の立ち合いのもとで境界を確定し、その測量結果を示した図面。現況測量図は、ブロック塀など現況の構造物を測量して作成する図面です。いずれも地積測量図とは異なり、公的な書類ではありません。

現況測量図はあくまで「現況」を測定した図面であるため、境界や面積などの目安を知るために使います。一方、確定測量図は隣地の承諾を得たうえで作成されるため、土地取引の際に必要とされるケースが多い図面です。

地積測量図で何がわかるの?

地積測量図は、不動産登記規則で記載しなければならない事項が定められています。

  1. 地番区域の名称
  2. 方位
  3. 縮尺
  4. 隣接地を含む地番
  5. 地積およびその求積方法
  6. 筆界点間の距離
  7. 平面直角座標系の番号または記号
  8. 筆界点の座標値
  9. 境界標
  10. 測量年月日
地積測量図 サンプル
出典:盛岡地方法務局「地積測量図サンプル

地積測量図の右上段には、その土地の「地番」と「所在地」が記載されています。下段には「作成者」「作成年月日」「申請人」「縮尺」が記載されます。

地積測量図の左側にある「求積表」では、面積の計算方法が示されています。求積表の下には「地積」や「測量年月日」が記載されます。右側の図面からは「方位」「地番」「形状」「境界標の位置と種類」などが読み取れます。

作成された年代によって記載方法や項目が異なることもある

地積測量図は、作成された年代によって記載方法や項目が異なります。古いものは、手書きで書かれていることもあります。中には、寸法の値が「間(1間は約1.8m)」となっているものも見られます。

地積測量図の作成方法はこれまで何度も改定されており、計測技術や印刷技術も進化しているため、フォーマットが統一されていないのは、なかば仕方のないことです。作成時期も考慮し、信頼性などを見極めるようにしましょう。

確認すべきポイント

地積測量図を見る際には、いくつか注意して確認すべきポイントがあります。
住宅建設を計画する場合は、土地の面積や境界標、道路幅員などをよく見るようにしましょう。これらの情報から、建築基準法に基づいた建物が建築できるかを判断できます。
また「残地」の表記にも注意を払う必要があります。過去には、土地分筆の際に分割される部分のみを測量し、残りの部分(残地)は未測量のままとすることが許容されていました。このため、残地の記載がある場合は、全体の登記簿面積から測量済みの土地面積を差し引いて残地の面積を算出する必要があります。

地積測量図の3つの取得方法

地積測量図は、次の3つの方法で取得できます。

法務局で取得

地積測量図は、誰でも法務局で取得できます。以前は不動産所在地の管轄法務局でしか閲覧できませんでしたが、現在はシステムのコンピュータ化により、最寄りの法務局でも確認・取得が可能です。

オンラインで取得

法務局に行かずに、オンラインで地積測量図を取得することも可能です。オンラインで請求する場合は、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」から申請します。ただし、データが5MBを超えるもの、証明書の枚数が99枚を超えるものはオンライン請求ができません。

郵送で取得

地積測量図の写しは、郵送で請求することも可能です。請求書に必要事項を記載して450円分の収入印紙を貼付し、切手を貼った返信用封筒を同封のうえ不動産の所在地を管轄する法務局宛に郵送します。

地積測量図がない場合はどうすればいいの?

地積測量図がない場合は、土地家屋調査士に依頼して測量・作成してもらいましょう。作成には数ヶ月を要することもあるため、事前に地積測量図の有無を確認しておくことが大切です。

確定測量図や現況測量図の取得方法は?

確定測量図と現況測量図は、公的な書類ではないため法務局で取得することはできません。

確定測量図は、土地家屋調査士による実地測量の結果として作成されます。測量・作成には、隣接地所有者の立ち会いのもとで境界を確定する必要があります。一方、現況測量図は、隣接地所有者の承諾なしに、ブロック塀など既存の境界物を基準に仮測量を行って作成される図面です。

両者ともに土地家屋調査士に依頼して測量・作成してもらいます。紛失した場合は、作成した土地家屋調査士に連絡し、再発行をお願いしてみましょう。

土地の確定測量にかかる費用はどれくらい?売却前の境界確定は必須なのか

確定測量図がない場合は、売買時に買主から売主に測量を求められることがあります。しかし、売買時は登記簿上の面積で価値が算出されるため、確定測量が必須要件ということではありません。ただし、登記簿上の面積が実際の面積より狭かったり、確定測量をしていないことで買主が不安に感じたりすれば、取引価格が下がってしまうおそれがあります。

土地の測量費用の相場

土地の確定測量費用の相場は、40〜100万円程度です。金額に幅があるのは、以下のような条件によって測量費用が変わってくるからです。

  • 土地の面積や形状、高低差など
  • 隣接地の数
  • 接道が公道か私道か
  • 隣接地に官有地が含まれるか
  • 隣接地所有者がすぐに承諾してくれるか

「面積が広い」「隣接する土地や道路が多い」「隣地所有者の承諾を得るのに時間や手間がかかる」といった土地は、測量費用が高額になる傾向にあります。測量の前には、土地家屋調査士や土地家屋調査士を手配する不動産仲介会社に費用の見積もりを提示してもらいましょう。

「土地売却時の測量」に関する記事はこちら
土地売却時の測量は義務?測量の流れや期間、費用を解説

まとめ

不動産取引において、土地の正確な地積や境界を把握することはとても重要です。将来的なトラブルを防ぐためには、確定測量図を作成し保管しておくことが賢明な選択といえるでしょう。

測量が必要になると、時間や手間がかかります。円滑かつ安全な不動産取引の実現のためだけでなく、隣地と境界で揉めてしまったときや土地を相続するタイミングで、地積測量図の有無や内容を確認しておくこともおすすめします。

この記事のポイント

地積測量図とはどのような書類ですか?

地積測量図とは、土地の面積の測量結果を明らかにした公的な図面です。
詳しくは「地積測量図とは土地の面積がわかる公的な書類」をご確認ください。

地積測量図から何がわかるのでしょうか?

地積や土地の形状、境界標の位置や種類など、土地に関するさまざまなことがわかります。

詳しくは「地積測量図で何がわかるの?」をご確認ください。

地積測量図はどうやって取得すればいいの?

直接法務局に行けば取得できますが、オンラインや郵送で請求することも可能です。
詳しくは「地積測量図の3つの取得方法」をご確認ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

土地の売買では「境界確定」がハードルとなってしまうことが少なくありません。近年は所有者が不明の土地も増えており、隣地の協力を得られずに境界確定や地籍調査ができないケースも見られます。境界トラブルは「筆界特定制度」を利用することで解決できる可能性もあります。土地の売買に伴う地積や境界の困りごとがある場合は、まず不動産会社に相談することをおすすめします。

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