固定資産税の特例制度

公開日 2023.02.08
固定資産税の特例制度
もくじ

1.はじめに

私たちの身の回りには、消費税や住民税、所得税といった様々な税金があります。その中でも、不動産を所有されている方にとって、毎年納めなければならない「固定資産税」は、身近な税金の一つです。
要件によって税金が減額される措置がある特例をご存じでしょうか。
本稿では、固定資産税の仕組みと特例制度をご紹介させて頂きます。

※地方税につき、各自治体で取り扱いが異なりますので、実際に申請される際は各自治体にお問い合わせください。

2.固定資産税とは

そもそも、固定資産とは、土地及び家屋、償却資産を総称したものを指します。

<固定資産の種類>

種類
土地 田んぼ、畑、住宅地、池沼、山林、鉱泉地(温泉など)、牧場、原野などの土地
家屋 住宅、お店、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
償却資産※1 会社等(事業者)が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)など
引用
総務省ホームページ

※1償却資産…土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産

固定資産税とは、毎年1月1日現在(賦課時期)の固定資産を所有している法人・個人に対して課される地方税です。
資産価値に応じて算定された税額を、その固定資産が所在する市町村(23区は都)に毎年納めます。

3.固定資産税の税額決定の仕組み

固定資産税額を求める基本的な計算式は、下記の通りです。
固定資産税=固定資産税評価額×1.4%(標準税率※2)
固定資産税評価額は、土地と家屋は3年ごと、償却資産は毎年評価替えを行います。

※2標準税率…地方公共団体が地方税を課税する場合に、通常用いることとされている税率

【固定資産税評価額の決定方法】

土地 地目別に売買実例価格等を基礎として評価額を算定
※宅地は、地価公示価格の7割程度を目途に評価
建物 再建築価格及び経年減点補正率※3に応じて、評価額を算定
償却資産 取得価格および取得後の経過年数等に応じて、評価額を算定

※3経年減点補正率…家屋の建築後の年数の経過に応じて生じる減価を基礎と定めた率

固定資産税評価額を確認するには、毎年6月頃に発送される固定資産税の納税通知書もしくは、市町村の窓口で閲覧・取得ができます。
(東京23区内では、固定資産が所在する区にある都税事務所にて、閲覧ができます。)
なお、閲覧される場合は、納税義務者と分かるもの(本人確認書類)を提示する必要があります。

4.固定資産税の特例制度

固定資産税の特例制度とは、いくつかの要件を備えることにより、税金が減額される措置のことです。
本稿では、どのような場合に固定資産税の特例制度の対象になり得るのか、代表的な例をいくつかご紹介致します。

(1)住宅用地に対する課税標準の特例

専用住宅やアパートといった住宅用地として使用している場合、税率が下がる特例です。

小規模住宅用地 固定資産税評価額×1/6
一般の住宅用地 固定資産税評価額×1/3

小規模住宅用地…住宅用地で住戸1戸につき200㎡までの部分
一般住宅用地…小規模住宅用地以外の住宅用地

※1月1日時点で家屋が無い場合は、住宅用地とみなされません。

(2)新築住宅(建物)に係る税額の減額措置

令和6年3月31日までに新築住宅を購入した場合、120㎡までの住宅部分に相当する固定資産税額の1/2相当額が3年度分(3階建以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)減額されます。

<要件>

  • 床面積が50㎡(戸建以外の貸家住宅は40㎡)以上280㎡以下であること
  • 居住用部分の割合が1/2以上であること

※セカンドハウス(毎月1日以上の居住の用に供するもの)は含まれますが、別荘(日常生活以外の用に供するもの)は含まれません。

適用期間後は、固定資産税額が元に戻ります。
認定長期優良住宅を購入した場合は5年度分(中高層耐火建築物は7年度分)の特例措置を受けることができます。

(3)既存住宅を耐震改修した場合の固定資産税の減額措置

昭和57年1月1日以前に建築された住宅を平成18年1月1日から令和6年3月31日までに現行の耐震基準(昭和56年6月1日以降の耐震基準)に適合する耐震改修を行った場合に減額されます。

平成25年~令和4年3月31日までに改修した場合
翌年度分の税額を1/2に減額
平成29年~令和6年3月31日までに改修し、長期優良住宅の認定を受けた場合
翌年度分の2/3に減額

(4)既存住宅のバリアフリーリフォームによる固定資産税の減額措置

新築後10年以上を経過した住宅に対して、平成28年4月1日から令和6年3月31日までに一定のバリアフリー改修工事を行った場合、翌年度分の税額が1/3減額されます。

<要件>

  • バリアフリー改修後の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
  • 併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  • 65歳以上、要介護もしくは要支援の認定を受けている者、障害者である者のいずれかと居住するために改修工事を行うこと
  • 工事費用が補助金等を除いて税込50万円を超えること

(5)住宅の省エネ改修時の固定資産税の減額

平成26年4月1日以前から所在する家屋に対して、一定の省エネ改修工事を行った場合、翌年度分の税額が1/3減額されます。

省エネ改修工事

  • 窓の改修工事
  • 床の断熱工事、天井の断熱工事、壁の断熱工事
  • 太陽光発電装置の設置工事
  • 高効率空調機の設置工事、高効率給湯器の設置工事、太陽熱利用システムの設置工事

<要件>

  • 省エネ改修後の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
  • 併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
  • 省エネ改修後の断熱改修部位がいずれも平成28年省エネ基準相当に新たに適合すること
  • ①~④の合計額が税込60万円を超えていること
    (③、④の設備設置工事を行う場合は、①及び①と併せて行う②の工事に充てた工事費用が補助金等を除いて税込50万円を超え、①~④の合計額が補助金等を除いて税込60万円を超えていること)

5.まとめ

ここまで、固定資産税の仕組みと特例制度をご紹介致しました。
特例制度は申請が必要なものや各自治体によって取り扱いが異なります。申告の際は各自治体にお問い合わせください。

既に不動産等をご所有されている方も、これからご購入される方も確認されてみてはいかがでしょうか。

※当コラムの内容は、公開日当時の法令等に基づいております。

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