土地活用の方法とは?種類やメリット・今後の傾向を解説

公開日 2024.01.31
土地活用の方法とは?種類やメリット・今後の傾向を解説

土地は、活用しなければ宝の持ち腐れです。
何もしない土地は固定資産税等の維持費が発生するばかりであり、活用しない土地はマイナスの資産となる可能性があります。
土地は活用してこそプラスの資産となるため、更地を持っている場合には活用を検討すべきといえます。
土地の活用方法には、一体どのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、土地活用の方法について解説します。

もくじ

土地活用とは

土地活用とは、土地を使って収益を生み出す仕組みを創り出すことです。
具体的には、他人に貸すことで賃料収入を得ることが土地活用となります。

土地活用の種類

土地活用の種類

土地を使ってお金を生み出す方法には、いくつか種類があります。
この章では、土地活用の種類について解説します。

建物を建てて貸す借家事業

土地活用の最も典型的なタイプは、建物を建てて貸す借家事業です。
アパートや賃貸マンション、貸し店舗、オフィスビル、老人ホーム等の建物の用途を問わず、建物を建てて貸す土地活用は借家事業と呼ばれます。

借家事業で得られる賃料は、「家賃」です。
家賃は、土地を貸す借地事業で得られる地代よりも金額が高くなることが一般的であり、土地活用の中では借家事業が一番収益を得やすい活用方法といえます。

借家事業は、地主が自ら建物を建てるため、土地も建物も所有者が同じになる点が特徴です。
建物投資を伴うことから、一般的には借入金も組みます。
投資は相応に発生しますが、リターンも大きい点が借家事業のメリットです。

借家事業の家賃は、建物の用途によって賃料単価が異なります。
賃料単価は店舗が最も高く、次にオフィス、住宅、老人ホームという順番で下がっていくことが一般的です。

収益性を高めるには賃料単価に着目し、例えば店舗の賃貸需要がある土地であれば店舗を優先的に検討することがより多くの収益を得やすくする土地活用を行うコツになります。

また、住宅に関しては、賃料単価はファミリータイプよりもワンルームの方が高くなることが一般的です。
そのため、ワンルームの賃貸需要が強いエリアであれば、ワンルームを優先的に選択していきます。

なお、建物を建てて貸す事業の中には、類似のものにトランクルーム(貸し倉庫)やレンタルルームといった活用方法もあります。
トランクルームやレンタルルームは、借地借家法が適用されない活用方法であり、厳密には上述の借家事業とは異なる活用方法です。
借地借家法は借主の権利を守るための法律であり、借地借家法が適用されない活用方法は貸主側から賃貸借契約を簡単に解除することができます。

トランクルームは、建物投資を伴うものの収益性はアパート等の借家事業と比べると低いです。
一方で、レンタルルームは収益性が不安定ですが、立地が良ければアパート等の借家事業よりも収益性が高くなる可能性はあります。

長期間土地を貸す借地事業

土地活用の中には、自身で建物を建てたい人に土地を貸す借地事業もあります。
借地事業は、建物投資は借地人(土地を借りる人)が行う点が特徴です。
地主は建物投資が不要となり、借入金も発生しないことからリスクはかなり低い土地活用といえます。

ただし、借地事業で得らえる地代は、借家事業で得られる家賃よりも一般的に低いです。
そのため、借地事業は借家事業に比べるとローリスクローリターンの関係にあります。

土地活用で利用される借地は、事業用定期借地権が多いです。
事業用定期借地権とは、専ら事業の用に供する建物(居住用を除く)の所有を目的とした定期借地権のことを指します。
定期借地権とは、更新の概念がない借地権のことです。

事業用定期借地権は、例えば一棟貸しのコンビニ等の郊外型商業施設に利用されることがあります。
事業用定期借地権の地代は、他の借地権の地代と比べると比較的高いことが特徴です。
また、借地期間も10年以上50年未満であり、借地にしては比較的期間が短くなっています。
相応の収入が期待でき、かつ、借地期間も比較的短いことから、事業用定期借地権は地主からの支持が高い借地権となっています。

暫定的に活用する暫定利用

土地活用の中には、暫定的に土地を貸す暫定利用もあります。 暫定利用には、コインパーキングや月極駐車場、自動販売機置場、野立て看板用地、資材置き場といった利用方法が挙げられます。

いずれも投資はほとんど発生しませんが、借家事業や借地事業と比べると収益性が低い点が特徴です。

土地活用では、建物所有目的の人に土地を貸すことを借地と呼びます。 コインパーキング等は土地を貸してはいるものの、建物所有目的の人に土地を貸していないため、借地とは呼びません。

建物所有目的の人に土地を貸す借地は、貸主(地主)と借主(借地人)との間に借地借家法が適用される点が特徴です。 借地借家法は借主の権利を守るための法律であることから、借地借家法が適用されると簡単には賃貸借契約を解除できなくなります。

一方で、暫定利用は建物所有目的の人に土地を貸していないため、借地借家法は適用されない賃貸借となります。 借主の権利が弱くなることから、貸主から簡単に賃貸借契約を解除することが可能です。

例えば、一旦駐車場として貸し出しても、もっと良い土地活用が見つかったら駐車場を解約してすぐに本格的な土地活用に移ることができます。 借地借家法が適用されない土地活用は、良い土地活用が見つかるまでとりあえず行うことができるため、暫定利用と呼ばれているのです。

土地活用のメリット

土地活用のメリット

この章では、土地活用のメリットについて解説します。

安定収入が得られる

土地活用は、安定収入が得られるという点がメリットです。
安定収入は、生活の見通しを立てやすくしてくれます。
しかも土地活用の収入は実働を伴わずに得られる不労所得であることから、年金のようにも利用できます。

維持費の負担が軽くなる

土地活用を行うと、維持費の負担が軽くなる点がメリットです。
土地は保有しているだけでも固定資産税や都市計画税といった費用がかかります。
更地であれば雑草が繁茂してしまうため、除草費用も必要です。

土地活用をすれば、これらの維持費の負担を軽くできます。
暫定利用であっても、固定資産税等が安い場所であればコインパーキングによって維持費を賄うことができます。

もちろん、借地事業や借家事業であれば維持費を十分に上回る収入を得られるため、維持費の負担の悩みは解消されることが通常です。

安全性が高い

土地活用は、株式投資やFX、仮想通貨等の投資と比べると、安全性が高い投資です。
基本的に投資した元本がゼロ円になってしまうことはないため、他の投資と比べるとリスクは低いといえます。

土地活用は安全性が高いことから、他の投資とは異なり銀行融資を受けやすいです。
株式投資等の資金は銀行から融資を受けられませんが、土地活用の資金であれば銀行は融資をしてくれることが通常です。

土地活用のデメリット

土地活用の中で借家事業を中心にデメリットについて解説します。

初期投資が必要となる

土地活用(主に借家事業)では、建物建築資金などの初期投資が必要となる点がデメリットです。
通常は全額自己資金で賄えないことから、土地活用では借入金も活用することが一般的となっています。
初期投資が大きくなると借入金の額も増えてしまい、投資のリスクも大きくなります。

未稼働リスクや空室リスクが存在する

土地活用を行うと、未稼働・空室リスクも抱えることになる点がデメリットです。
借家事業では、未稼働・空室リスクが様々なリスクを引き起こす呼び水となります。
空室が増えると新規入居者を決めるために、家賃を下げて募集し始めることが多いです。
そのため、空室リスクは家賃下落リスクを引き起こします。

また、空室で収入が減れば、借入金の返済に窮してしまうことも多いです。
そのため、空室リスクは、借入金返済リスクも引き起こします。

建物の用途を決定するにあたり、どの用途に需要があるのか、市場調査が重要になります。

将来に修繕費の負担が生じる

貸主には修繕義務があるため、土地活用では将来に大規模修繕等の修繕費の負担が生じる点もデメリットです。
大規模修繕には、大きな金額を要します。
大規模修繕は適切に行わないと建物の損傷を早めることから、実施しないと余計にリスクを高めることになります。

不動産鑑定士が見る土地活用の今後と傾向

不動産鑑定士が見る土地活用の今後と傾向

人口減少社会において、これからの土地活用は差別化がキーワードとなっていきます。
アパートや賃貸マンションは、一旦地域に供給されると50年以上は存続するため、戸数はなかなか減りません。
一方で、人口は減っていきます。
そのため、土地活用は供給過剰になる傾向があります。

供給過剰の中で借主に選ばれる物件となっていくには、他の物件と差別化されていることが必要です。
特定のターゲットに合わせた建物や用途にすれば、そのターゲットに選ばれやすくなります。

人口減少社会においても、例えば共働き世帯や高齢者の単身世帯といった世帯は増加傾向にあります。
差別化するのであれば、増加傾向にある世帯をターゲットとすることが望ましいです。

地主も設計の段階から積極的に関わり、設計者や施行者とともに意見を出し合いながら差別化を企画していくことをおすすめします。

まとめ

以上、土地活用の方法について解説してきました。
土地活用には、大きく分けて借家事業と借地事業、暫定利用の3種類があります。
土地活用のメリットは、安定収入が得られ、維持費の負担も軽くなり、安全性も高いという点です。
デメリットは、大きな初期投資が必要となり、一定のリスクも発生し、将来には修繕費の負担が生じるという点が挙げられます。
今後の土地活用においては、きちんと差別化された物件を提供していくことが望ましいです。
信頼できるパートナーとともに、差別化できる企画を盛り込んで頂ければと思います。

※当コラムは、著者個人の見解に基づくものであり、東急リバブルの公式発表や見解を表すものではございません。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。

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