失踪宣告の取消し
読み:しっそうせんこくのとりけし
失踪宣告を受けた者が生存している場合(または失踪宣告によって死亡したとみなされる時期とは異なる時期に死亡していたことが判明した場合)には、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪宣告を取り消さなければならない(民法第32条第1項)。
この失踪宣告の取消しは、失踪宣告を受けた者が死亡したとみなされた時点にまで遡って、その効果を生ずる。具体的には、失踪宣告による死亡により発生した相続は無効となり、相続人は失踪者が生存していれば、相続財産を失踪者に返還する必要が生じる。
なお、失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負うと規定されている(民法第32条第2項)。
ただしこの点については、取消しの効果の制限という制度が設けられており、善意の相続人等が保護されている。