市街地開発事業等予定区域の区域内の制限
読み:しがいちかいはつじぎょうとうよていくいきのくいきないのせいげん
都市計画の告示があった日から、市街地開発事業等予定区域において適用される制限のこと。
なお、「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業についても同一の制限が適用される(詳しくは下記7.へ)。
1.趣旨
市街地開発事業等予定区域の都市計画が告示されると、その告示の日から3年以内に都市施設または市街地開発事業に関する「本来の都市計画」が決定される。さらにその後2年以内に、都市計画事業の認可が申請されなければならない。
従って、市街地開発事業等予定区域では早い時期に、都市施設整備事業・市街地開発事業に係る工事等が実際に開始される。
そこで、市街地開発事業等予定区域では、こうした近い将来の事業の実行に対して障害となる恐れのある行為を厳しく制限することにしているのである。
2.制限のあらまし
都市計画の告示があった日以降、次の1)および2)の制限が課せられる。その反面、次の3)により土地所有者は土地の買い取りを要求することができる。
1)建築物の建築、工作物の建設、土地の形質変更の制限(下記3.4.へ)
2)施行予定者による「土地建物等の先買い」(下記5.へ)
3)土地所有者から施行予定者に対する「土地の買取請求」(下記6.へ)
3.建築物の建築、工作物の建設、土地の形質変更の制限
都市計画の告示があった日以降、建築・建設・土地の形質変更を行なうには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第52条の2第1項)。この許可について次の点が重要である。
1)建築物の建築には知事(指定都市等では市長)の許可が必要。なお、ここでいう「建築」とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。
2)工作物の建設、土地の形質変更(宅地造成等)にも知事(指定都市等では市長)の許可が必要。
3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物であっても、知事(指定都市等では市長)は建築を不許可とすることができる。
4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記5.へ)。
4.許可が不要とされる要件
管理行為・軽易な行為、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、許可が不要である(都市計画法第52条の2第1項但書)。
管理行為・軽易な行為としては、「車庫、物置その他これらに類する附属建築物(木造で2階以下かつ地階を有しないものに限る)の改築または移転」などが定められている(都市計画法施行令第36条の2)。
5.土地建物等の先買い
土地建物等の有償譲渡(※)をしようとする者は、事前に施行予定者(国の機関・都道府県・市町村・その他の者)に届出をしなければならない。施行予定者は、この届出のあった土地建物等を優先的に買い取ることができる。
この先買い制度は、施行予定者が先買い制度に関する公告を行なった日の翌日から10日を経過した日から適用される(都市計画法第52条の3)。
(※)ここでいう「土地建物等の有償譲渡」とは「土地の有償譲渡」または「土地と建築物等を一体とした有償譲渡」を指す。従って、建築物のみを有償譲渡する場合には、先買い制度は適用されない。また有償譲渡とは「売却」「交換」を指す。
6.土地の買取請求
土地所有者は、施行予定者(国の機関・都道府県・市町村・その他の者)に対して、土地を時価で買い取るべきことを、いつでも請求できる。
ただし、その土地に建築物・工作物・立木法により登記された立木がある場合には、この買取請求ができない。また、その土地に他人の権利(地上権・賃借権・抵当権など)が設定されている場合にも、この買取請求ができない(都市計画法第52条の4)。
7.「施行予定者」が定められている都市施設・市街地開発事業について
「施行予定者」が定められている都市施設、「施行予定者」が定められている市街地開発事業については、都市計画法第60条の2第1項の規定により、都市計画の告示から2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない。このため、厳しい制限を課す必要があるので、上記2.から6.とまったく同一の制限が課せられている(都市計画法第57条の2から第57条の5まで)。
(なお、施行予定者が定められていない都市施設・市街地開発事業については「都市計画施設の区域内の制限」「市街地開発事業の施行区域内の制限」を参照のこと)
- カテゴリ
- 都市・開発・インフラ用語
- 五十音・
アルファベット - し