信義則(信義誠実の原則)
読み:しんぎそく(しんぎせいじつのげんそく)
権利の行使および義務の履行は、信義に従い誠実に行なわなければならないとする原則をいう。
この原則は、契約の趣旨を解釈する基準にもなるとされ、当事者相互が、相手方が持つであろう正当な期待に沿うように行動することを要請しているのである。
どのような場合に信義誠実の原則を適用するかは、具体的な事情に応じて決定するほかない。例えば、不動産仲介業会社は、直接の委託関係はなくとも、業者の介入に信頼して取引を成すに至った第三者一般に対しても信義誠実を旨とし、権利者の真偽につき格別に注意する等の業務上の一般的注意義務があるとする判例もある。判断に当たって、置かれた立場や社会的な信頼などが考慮されるということである。
なお、民事訴訟法は、当事者の訴訟行為について信義誠実義務を課しているが、これは一般的な信義誠実の原則とは別のより厳密な義務であると考えてよい。