所有権留保
読み:しょゆうけんりゅうほ
民法176条に「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。」とあり、不動産取引においても、登記や代金の支払い、物件の引き渡しなどの行為はあるとしても、所有権そのものは契約時に移転するという解釈が一般的である。しかし、売り主の代金支払請求権を担保したいとの事情などから、所有権移転時期を、代金支払い時や、物件引き渡し時とする特約が結ばれることも行なわれている。
一方、割賦販売法第7条では、割賦販売契約においては、「~全部の支払の義務が履行される時までは、割賦販売業者に留保されたものと推定する。」と定められているが、宅地建物取引業法においては、消費者保護の観点から、宅地建物取引業者が売り主となる売買について、代金の10分の3を超える額の支払いを受けるまでに登記その他引渡し以外の売り主の義務を履行しなければならない等、宅地建物取引業者側の所有権留保を禁じている(宅地建物取引業法第43条)。業者が買い主の債務を保証する場合も同様である。