マーケットレポート
マーケットレポート2023, 07
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長い間活況であった首都圏の中古マンション市場では、依然として成約価格の上昇が続いていますが、その一方で、成約件数が減少しています。
最新の2023年5月期の成約状況は、成約㎡単価は70.35万円で、前年同月比+8.1%と上昇傾向ですが、成約件数は2,737戸でマイナス4.9%と2か月連続で減少となっています。背景の一つに、需要と供給とのギャップがあると考えられます。今回は、首都圏の中古マンションの成約物件を「需要」、新規登録物件を「供給」に見立て、築年数や平均面積など分類別で考察することによって、需要と供給の現状を見ていきたいと思います。
築年数別 対新規登録成約率と成約㎡単価
右のグラフは、2022年に成約した首都圏中古マンションを築年数別で分類し、新規登録件数に対する成約件数の割合と平均㎡単価を算出した結果です。最も成約率が高いのは築6~10年でした。築20年以降に下落幅が大きくなり、築26年以降で下落率がなだらかになります。
つまり、成約率では「築10年以内」と「築20年超」において、大きな区切りが存在すると言えます。赤色で示したのが2022年首都圏新築マンション平均㎡単価の95.1万円です。築5年以内の平均成約価格が新築マンションの平均価格を越えているのが分かります。築6~10年物件も、新築とほぼ同水準と言えます。近年は、地価上昇に加え、更に物価上昇もあり、新築価格の高騰を抑えるために、専有面積を縮小したり、設備のグレードを落としたりせざるを得ない事情があります。そのため、中古マンションの方が条件面で充実している場合もあるため、このように新築マンション価格と中古マンション価格の逆転現象が生じていると考えられます。
成約物件と新規登録物件の平均面積の推移
次にマンションの広さを見ていきましょう。右のグラフは、各年に成約・新規に登録された中古マンションの平均面積を見たものです。まず、成約物件と新規登録物件では、開きがあるのが分かります。また、供給である新規登録物件の平均面積が年々減少傾向にあるということも見て取ることが出来ます。コロナ禍を経て、在宅時間が長くなる中で、より快適な暮らしを求め『広さ』も重要なポイントになってます。しかし、そういった需要に供給が応えられていない状況が浮き彫りとなっています。
今後の中古マンション市場では、立地や広さ、築年数などで条件が良い物件が高値で売れる一方で、競争力のない中古マンションが増えるという、『二極化』が進んでいくと見られます。
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