プロパティスタ|PROPERTISTA 東急リバブル

MENU

マーケットレポート

マーケットレポート2023, 08

2023年8月9時点公表分
この記事のPDF版を
ダウンロードDOWNLOAD

イールドカーブコントロール修正で、
どうなる?住宅ローン

7月28日に日銀が、長短金利操作(イールドカーブコントロール)の方針を修正することを決定しました。具体的には、長期金利の上限である0.5%は、あくまでも「めど」とし、1%を事実上の上限にするとしました。長期金利を強引に抑え込んでいた従来の姿勢から、緩やかな上昇を容認する姿勢に方向転換したと言えます。この決定によって、住宅ローンや不動産投資ローンはどのような影響をうけるのでしょうか。

目次
イールドカーブの比較
国債(10年)・フラット35の金利推移

イールドカーブの比較

イールドカーブの比較
イールドカーブの比較|グラフ
(財務省、住宅金融支援機構HP掲載資料より作成)

まず、イールドカーブコントロールとは何でしょうか?
左のグラフは、各年7月末時点の国債の償還期間と金利を比較したものです。この償還期間と金利の関係性をイールドカーブといい、このイールドカーブを意図的に抑え込む政策をイールドカーブコントロールと言います。
通常は、償還期間が長くなるほど金利も高くなるようにゆるやかな右肩上がりになるはずです。
しかし、日銀は、低金利政策を長きに渡り実行しており、その中でも住宅ローンなどの様々な金利に影響を与える長期金利をコントロールする政策を導入しています。その代表的な指標となる10年償還の国債の金利を抑制したいために、グラフのように10年だけ少し凹んだ形になっています。これまでは長期金利が0.5%を超えたら抑え込んでいましたが、この度の決定で0.5%を超えても原則的に容認し、1.0%を超えたら抑え込むように方針を変更しました。
その翌営業日の7月31日には、一時、0.605%まで上昇し、2014年6月以来、およそ9年ぶりの水準となりました。

国債(10年)・フラット35の金利推移

国債(10年)・フラット35の⾦利推移
国債(10年)・フラット35の金利推移|グラフ
(財務省、住宅金融支援機構HP掲載資料より作成)

住宅ローンの固定金利は、長期金利に連動し、前月の中旬から下旬の長期金利をもとに決めるのが一般的です。左のグラフは、2009年からの10年国債とフラット35の金利推移です。
これを見ると、ほとんど同じような動きをしているのが分かります。相関係数も、0.96とかなり強い相関関係を示しています。

冒頭の通り、7月28日に日銀の金融政策決定会合で長期金利の上限を事実上1.0%にするイールドカーブコントロールの修正に踏み切りました。今後も長期金利の上昇が予想されますが、日銀の政策決定発表時点で、8月のフラット35金利は既に決まっている段階だったので、 1.72%と前月よりも0.01ポイント下落となりました。フラット35などの固定金利への直接的な影響は、9月以降と見込まれます。一方で、不動産投資ローンで、多くの人が選択する変動金利については、短期金利に連動するため、今回の決定による影響は少ないと見られます。

ご留意事項
不動産投資はリスク(不確実性)を含む商品であり、投資元本が保証されているものではなく、元本を上回る損失が発生する可能性がございます。
本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、
不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。
本マーケットレポートに掲載されている情報は、2023年8月9日時点公表分です。
各指標は今後更新される予定があります。
本マーケットレポートに掲載した記事の無断複製・無断転載を禁じます。
2023年8月 マーケットレポート 
その他のトピックス
市場定点観測
投資用マンション価格高騰と投資ブームでアパートローンも増加傾向
マーケットレポート・コラム
トップへ戻る

NEXT CONTENTS