プロパティスタ|PROPERTISTA 東急リバブル

MENU

マーケットレポート

2023年9月19時点公表分

この記事のPDF版を
ダウンロードDOWNLOAD

建設工事費の上昇でまだまだ
不動産価格の高騰は続きそう?

建設工事費デフレーターとは、建設工事に係る名目工事費を基準年度の実質額に変換する目的で、国土交通省が毎月作成・公表している指標です。建設工事の多くは、過去に作ったものを同じようにつくるのではなく、顧客の要望に合わせて一から設計するという「現地一品生産」という特性があるため、一般の製品の物価のように市場価格の動きでは直接的にとらえることができません。そのため、建設工事費デフレーターは、建設工事費を構成する「労務費」や個々の「資材費」などの価格指数をそれぞれの構成比で指数化されています。
それでは、建設工事費デフレーターを見ていきましょう。

目次
建設工事費デフレーター(住宅総合)の推移
新築マンション価格推移との時差相関

建設工事費デフレーター
(住宅総合)の推移

建設工事費デフレーター(住宅総合)の推移
建設工事費デフレーター(住宅総合)の推移|グラフ
国土交通省「建設工事費デフレーター(2015年度基準)

グラフを見ると2021年頃から建設工事費が急上昇しているのが分かります。アメリカ等の先進各国で、リモートワークの浸透などにより、郊外に移住したり、自宅をリフォームしたりする人が増えたことに加え、当時アメリカなどでは金融緩和が進み低金利であったことなど、住宅需要が増大したことで、木材需要が急増しました。これは「ウッドショック」と呼ばれ、世界的に広がり、日本でも木材価格が上昇しました。更に、日本国内では、2022年以降、多少上昇幅は落ち着いてきたものの、円安の影響も加わり建設費の上昇が続いています。

新築マンション
価格推移との時差相関

新築マンション価格推移との時差相関
新築マンション価格推移との時差相関|グラフ
㈱不動産経済研究所「⾸都圏・近畿圏マンション・建売市場動向」より

新築マンション価格は、一般的には「積算法」で価格が決まることが多くなります。「積算法」とは、土地と建物の調達価格を合計して算出する方法です。つまり、土地の購入額と建物を建てるために要した金額やその他のコストを合計して算出します。そのため、建設費が上昇すると、販売価格にもダイレクトに影響を受けます。建設工事費デフレーターと新築マンション価格にはどれくらいの関係性があるのでしょうか?
建設工事費デフレーターと首都圏新築マンションの契約㎡単価の推移(※両者とも季節要因を排除するため12カ月移動平均を採用)の相関係数を算出すると、0.86と高い相関関係を示しました。

この両者の推移を、建設工事費デフレーターを先行にして時差相関をとると、上のグラフのようになります。相関係数は、時差を設けるほど高くなっていきます。つまり、データ上は建設工事費デフレーターが上昇すると(下落すると)1年半程度遅れて新築マンション価格も上昇(下落)するということが言えます。 新築マンション価格決定要因には、その他にも金利状況や社会的ムーブメントなど社会的・経済的情勢など様々な要因が関与してきます。しかし、建設工事費デフレーターは依然として高い水準となっているため、新築マンション価格の高騰は暫く続くと考えられます。

ご留意事項
不動産投資はリスク(不確実性)を含む商品であり、投資元本が保証されているものではなく、元本を上回る損失が発生する可能性がございます。
本マーケットレポート に掲載されている指標(例:利回り、賃料、不動産価格、REIT指数、金利など)は、
不動産市場や金融市場の影響を受ける変動リスクを含むものであり、これらの変動が原因で損失が生じる恐れがあります。
投資をする際はお客様ご自身でご判断ください。当社は一切の責任を負いません。
本マーケットレポートに掲載されている情報は、2023年9月19日時点公表分です。
各指標は今後更新される予定があります。
本マーケットレポートに掲載した記事の無断複製・無断転載を禁じます。
2023年10月 マーケットレポート 
その他のトピックス
市場定点観測
首都圏中古マンションは売り手市場から緩やかに変化が…!?
マーケットレポート・コラム
トップへ戻る

NEXT CONTENTS