マーケットレポート
マーケットレポート2024, 9
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長期国債金利の状況と区分マンション投資
7月31日に日銀の金融政策決定会合において、政策金利が0.25%に引き上げられました。これはおよそ16年ぶりの水準です。政策金利の引き上げは短期プライムレートの上昇、ひいては変動金利の上昇につながります。そのため、多くの金融機関が8月以降に変動金利の上昇を予定しています。一方、固定金利は昨年から今年前半にかけて上昇しましたが、最近では落ち着きを見せています。これは、固定金利の基準となる長期国債金利の上昇が一服したためです。今回は、長期国債金利の状況とマンション投資への影響について考察してみましょう。
日米の長期(10年)国債金利の推移(20年1月~24年7月)
下のグラフは、2020年1月から2024年7月末までの長期(10年物)国債金利の推移を示しています。日銀の大量購入によるオペレーションにより、2022年末まではほぼ0%で推移していました。2022年末に0.25%、その後、2023年に0.5%、以降は段階的にオペレーション水準を引き上げ、国債の買い入れ額を減らすことで、金利を市場に委ねる割合を増やしてきました。2024年前半は1%前後で推移し、徐々に上昇傾向にありましたが、最近では横ばいとなっています。そのため、住宅ローンや不動産投資ローンなどの固定金利もこのところ横ばいになっています。冒頭で述べた政策金利の上昇により、8月初旬の株式市場は大きく乱高下しましたが、その前後で株式を売却して安全資産である長期国債に資金を移動させる動きがあったため、長期国債金利は8月7日時点で少し下げており、0.8%前後で推移しています。ちなみに、米国の長期国債金利は依然として3%台後半で推移しています。
不動産投資における投資利回りの基準となるキャップレートは、要素分解するとリスクフリーレート+不動産のリスクプレミアムとなり、リスクフリーレートは通常、長期国債金利を用います。そのため、長期国債金利の低下はキャップレートの低下につながります(不動産投資におけるリスクプレミアムが一定と仮定)。投資用不動産の価値算定(価格)は、NOI÷利回り(基準としてキャップレート)で計算できます。このところの投資用区分マンション価格は、本来、長期国債金利の上昇によってネガティブな局面となるはずですが、賃料上昇にともなうNOIの上昇がそれを打ち消しており、強気な状況が続いています。このような状況下での長期国債金利の低下は、投資用不動産価格の上昇可能性を高める要因となるでしょう。
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