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マーケットレポート2024, 9
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過去20年のデータから、金利の上昇と地価動向を分析
7月31日に開催された日銀金融政策決定会合において、政策金利が0.25%に引き上げられました。8月以降、短期プライムレートや変動金利が上昇しています。この引き上げにより、2008年12月以来の水準(当時は0.3%)となり、株式市場などで動揺がありました。振り返れば、1980年代後半のバブル期には、当時「公定歩合」と呼ばれていた政策金利は、87年2月に当時としては最低の2.5%となり、不動産市場にお金が流れるようになり、不動産価格は急上昇しました。その後、89年に入り段階的に公定歩合が引き上げられ、90年8月には6%にまで上昇しました。また、1998年以降停止された地価税が91年に導入され、「不動産価格を抑える施策」が次々に導入されました。その後の不動産価格の急落は、40代以上の方々はご存知の通りでしょう。
当時の地価の動向を見れば、バブル崩壊前のピークは1991年に公表された公示地価(価格時点は1月1日)であり、主要都市のほとんどがこの年にピークを迎えました(福岡は1992年)。その後、地価は下がり続けました。ちなみに、日経平均株価の当時の最高値は1989年12月の大納会(最終取引日)で、39,098円でした(2024年2月22日に更新されました)。これにより、ピークの時期にちょうど1年の時差があることになります。では、2000年以降の状況を見てみましょう。
地価公示 変動率の推移(住宅地:2000年~2024年)
下のグラフは、2000年から2024年までの公示地価(住宅地)の変動率の推移を示しています。主要都市は、多少の時差やボラティリティの違いはあるものの、概ね似たような動きをしています。1990年代後半、公定歩合は0.5%に設定されていましたが、その後さらに引き下げられ、長引く不動産市況を回復させるために躍起になっていましたが、あまり効果はありませんでした。金利を下げても好転しない状況が続きました。その後、2005年から2008年までは「ミニバブル期」と呼ばれる不動産市況の活況期となりました。これは、不動産ファンドなどの大規模な資金が、低迷し続けていた安価な日本の不動産を買い進めたことに起因しています。しかし、リーマンショックが襲い、市況はあえなく失速しました(この間に行われたとされるのは、金利の引き上げよりも不動産への融資の制限です)。その後、異次元の金融緩和政策(2013年5月から)により、市況は徐々に回復し始めました。
8月から政策金利は上がりましたが、現在でも不動産市況は好調を維持しています。多少の金利上昇では、大きな影響はないものと考えられます。しかし、今後さらに数回の政策金利引き上げが行われるようであれば、注意が必要でしょう。
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