2024年07月の不動産ニュース

日々、移り変わる不動産市場。
私たちにとって“情報”を理解し、
精査することは何よりの財産です。
ここでは不動産業界のニュースをお届けします。
※記載されている内容は、全て掲載時点のものです。
最新の内容とは異なる場合がありますのでご了承ください。

2024年07月

  • 2024.07.09

    集合住宅のZEV充電設備を6万口に

    ―都、普及促進に向けた連携協議会を開催


    東京都は、24年度第1回「マンション充電設備普及促進に向けた連携協議会」をこのほど開いた。協議会では充電設備の設置状況や支援事業など、都の取り組み内容を紹介。また事業者・団体による活動報告が行われた。都では30年までに都内で販売される新車乗用車の100%非ガソリン化および販売台数に占めるZEV(電気自動車など)割合50%を目指す。加えて、都内集合住宅におけるZEV充電設備を30年には6万口の設置を目標に掲げる。

    都内の集合住宅に対する充電設備の設置数は23年度実績で2959口。30年の目標にはほど遠い状況だ。一方で普及促進事業における集合住宅の補助実績として、23年の申請口数は1758口。22年の564口から大きく飛躍した。集合住宅は関係者間の合意形成が難しいが段階的な支援の実施が功を奏している。同事業の予算執行状況(集合住宅・戸建て住宅)をみると、24年5月末時点で32%。今後もEV・BEV車は積極的な市場投入が想定されるため、さらなる普及拡大が期待できる。

    充電設備の普及促進向け、24年度では集合住宅の支援策を拡充させた。普通充電設備は設置工事費の補助上限を135万円(1基目)、2基目以降が68万円と上限額を引き上げた。通信機能付充電設備の設置で上限+3万円/基の上乗せ補助を行う。超急速(出力90㎾以上)・急速(10㎾以上)充電設備は蓄電池付充電設備の設置で上限+335万円/基、通信機能付充電設備で上限+10万円/基と上乗せ補助を拡充した。将来的な設備設置のための先行工事を新たに補助対象に追加。機械式駐車場だと上限30万円/区画、それ以外で上限7万円/区画に設定した。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.08

    マンション総合調査、居住者高齢化進む

    ―国交省調べ、修繕積立金の不足割合拡大


    国土交通省は、全国のマンション管理組合や区分所有者を対象にマンションの管理状況や居住者の管理に対する意識を調査する「マンション総合調査」の23年度の結果をまとめた。調査は5年ごとに実施。世帯主の年齢は70歳以上の割合が25・9%となり、18年度の前回調査から3・7㌽増加した。一方、40歳代以下の割合は21・9%と前回から4・1㌽減り、居住者の高齢化が進んだ。計画期間25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は59・8%で、前回より6・2㌽増加した。

    永住意識については、前回は10・4㌽増の62・8%と1980年度の調査開始以来過去最高を記録したが、今回は60・4%と前回より減少した。1戸当たりの修繕積立金は月額1万3054円で、前回より1811円上昇。マンションの完成年次別にみると、15年以降に竣工したマンションの月額の修繕積立金は1万1405円で、全体平均を下回った。計画上の修繕積立金の積立額に対して、実際の積立額が不足しているマンションは1・8㌽増え36・6%に上った。計画に対して20%以上の不足に陥っているマンションの割合は11・7%で、前回より3・8㌽減少した。

    今回新たに追加した質問のうち、宅配ボックスの設置の有無については「竣工当初から設置されている」が49・2%で、「後から設置した」8・2%と合わせて、設置済みが57・5%だった。設置台数は「5~9台」が36・1%と最多で、「10~14台」34・9%、「15~19台」が9・0%、「20台以上」が15・2%だった。調査は23年10月~24年3月に実施。1589管理組合、3102区分所有者が回答した。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.05

    渋谷アクシュ、オフィス満床で開業へ

    ―東急、渋谷再開発に今後5千億円を投資


    東急が参加組合員として参画する「渋谷二丁目17地区第一種市街地再開発事業」の複合ビル「渋谷アクシュ」が8日に開業を迎える。総賃貸面積2万4950㎡のオフィスフロアは満床での開業となる。入居企業で働く約2500人の渋谷への流入を想定する。低層部の商業フロアは飲食店を中心に全15店舗が順次開業。青山エリアに少ない飲食機能を補完、公開広場を作り賑わいを生むほか、デッキを整備し回遊性を高めた。総事業費は275億円。4日に報道陣へ公開した。

    シオノギ渋谷ビルなどビル4棟があった場所を一体開発した。東急が種地を持たずに再開発事業に参画するのは、渋谷では初めて。建物は地上23階地下3階建て、延床面積は約4万4543㎡。1~4階が商業、5~23階がオフィス。オフィスの基準階賃貸面積は約400坪で、1フロアを4分割まで可能。リーシングは早期から好調に進み今春に満床となった。坪賃料は非公表だが、同社は参考として渋谷・道玄坂エリアの大規模オフィスの平均坪賃料3万3000円という市況データを紹介。新築の同ビルはそれを上回る。渋谷のオフィス需要について同社担当者は「渋谷はリクルート面で人気が高くオフィスが足りないという声を聞く。成長企業が多く増床要望も多いため、引き続きオフィス需要はあり、床不足の解消を図る必要がある」と話す。

    東急では今後も渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトや渋谷スクランブルスクエアの第2期のほか、準備組合設立段階のものも含めて多くの再開発が控える。同社は渋谷エリアで31年度以降も含めて今後、合計5000億円規模の投資を行う。想定延床面積は合計約80万㎡に上る見込みだ。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.03

    ローン市況に柔軟な対応ができる体制へ

    ―SBIアルヒ・伊久間新社長が事業戦略


    6月21日にSBIアルヒの代表取締役社長CEO兼COOに就任した伊久間努氏は、本紙の取材に応じ、「SBIグループとの連携で信用を強化しながら、在任中に史上最高益まで再成長させることが使命」と強調した。再成長に向けた事業戦略について「利用者の視点に立った使い勝手の良さを追い求める。住宅ローン審査の速度や正確性で不動産会社から幅広く支持され、多様な層の顧客を獲得して、市場の流れに乗ることができる柔軟な体制を構築する」と語った。

    現在の住宅ローン市況について伊久間氏は「金利が上昇する局面で、厳しい環境に入った」と認識する。国内で最大の取り扱い規模を誇るフラット35が核となる事業という点は変わらないが、23年に投入して好調な変動金利型の住宅ローン商品も含めて、「モーゲージ・バンクとして企業全体の収益構造を組み立てる」と話す。24年度の業績について「劇的な浮上の兆しは見えてこない」としながらも、「住宅ローンで変動を選ぶか、固定を選ぶかといった話題が増えて関心が高まっていることは好材料」として、「長期と短期の金利差が縮まってくれば、これまで得意としてきたフラット35商品が伸びてくるチャンス」と捉えている。

    住宅市場に関しては「住宅の取得者が多様になってきた。中古の比率は上昇し、今後も新築の市場が大きく伸びることはないだろう」と話す。「シングルや若年層の50年ローンによる購入なども増えてきた。事業機会を幅広く捉えて顧客層を拡大し、柔軟性も強化する」として、今後はフランチャイズを生かした全国の店舗網の拡充などにも取り組む。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.03

    ローン金利の上昇意識、初の5割超え

    ―住金機構、利用金利は0・5%以下増加


    住宅金融支援機構は、24年4月の「住宅ローン利用者の実態調査」をまとめた。今後1年間の住宅ローン金利の見通しで「現状より上昇する」と回答した人が50・5%(前回23年10月比8・2㌽増)へと増加した。「現状より上昇」の回答が5割を超えるのは、この質問が現在の形式になった11年以降で初めて。

    利用した金利タイプ別にみると、「現状より上昇する」と回答した人の割合は、変動型利用者では50・9%(11・6㌽増)となり、前回比で大幅に増加している。将来金利が上昇して返済額が増加した場合の対応は、変動型では「返済メドや資金余力があるので返済継続」が34・1%(1・9㌽増)、固定期間選択型では24・2%(1・3㌽減)でともに最多となった。

    利用した住宅ローンの借入金利は「0・5%以下」が34・3%(5・5㌽増)となり、最多となった。利用借入金利で0・5%以下がトップとなるのは、現在の質問形式になった21年以降で初めて。返済期間は「30年超~35年以内」が50・8%で最多。金利タイプは「変動型」が76・9%、「固定期間選択型」が15・1%、「全期間固定型」が8・0%となった。 

    また、今回は同一物件に夫婦などが各自で住宅ローンを利用する「ペアローン」と、住宅ローン申込本人の収入とその配偶者や親子などの収入を合算して1つの住宅ローンを利用する「収入合算」についても初めて調査した。ペアローンの利用割合は22・8%、収入合算の利用は15・4%、どちらも利用なしは61・8%だった。

    調査は23年10月~24年3月までの間に、実際に住宅ローンを利用して住宅を取得した人を対象に実施。回答数1500件。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.02

    路線価、全国+2・3%で3年連続上昇

    ─国税庁、能登半島地震受け調整率設定


    国税庁は1日、相続税や贈与税の基準となる24年分の路線価(1月1日時点、標準宅地32万地点)を発表した。全国平均は+2・3%で、昨年の+1・5%を上回り、3年連続で上昇した。都道府県別で上昇率のトップは福岡県で+5・8%(前年+4・5%)。路線価は国土交通省の地価公示の8割程度となるため、傾向は地価公示に近くなる。コロナ禍を脱し、人流が回復したことで全国的に上昇率は拡大傾向となった。

    路線価が上昇した都道府県の数は29(前年25)に増え、下落した府県は16(20)に減少した。上昇率が5%以上10%未満の高い上昇を示した都道府県の数は5(北海道、宮城県、東京都、福岡県、沖縄県)となり、前年の1(北海道)から増えている。都道府県庁所在都市で最高路線価が上昇した都市の数は37都市(前年29都市)、横ばい9都市(13都市)、下落1都市(4都市)。上昇率10%以上の都市は昨年ゼロだったが、今年はさいたま市、千葉市の2都市が入った。

    最高路線価の上昇率で全国トップだったのは千葉市中央区富士見2丁目の「千葉駅東口駅前広場」で+14・9%(地点変更により23年分との比較なし)。路線価の価額で全国最高地点は東京・中央区銀座5丁目の銀座中央通り(鳩居堂前)で、1㎡当たり4424万円(前年比+3・6%)。39年連続で路線価全国トップとなった。同地点の最高額は20年の4592万円。

    全国の税務署別で路線価の上昇率トップは、白馬村が管内にある長野県の大町税務署で+32・1%。次いで熊本県の菊池税務署が+24・0%だった。世界的な半導体メーカーTSMCが進出した菊陽町がある。

    東京国税局管内では、74地点で上昇(前年72地点)、5地点で横ばい(11地点)、下落は3地点(0地点)。路線価の最高地点は、千葉県は「船橋市本町1丁目」で㎡当たり260万円。東京都区部は前出の鳩居堂前、多摩地域は「武蔵野市吉祥寺本町1丁目」で620万円。 

    また、能登半島地震が特定非常災害に指定されたことを受け、国税庁は石川県・富山県・新潟県に対して、相続税・贈与税の計算の特例「調整率」を設けた。調整率は県別・地目別に異なる。①23年2月28日~12月31日に相続等で取得した土地等②23年1月1日~12月31日に贈与で取得した土地等─が対象。路線価に一定の調整率を掛けて評価額を引き下げ、税負担を軽減する。調整率の設定は20年7月豪雨以来。

    24年の路線価に対し、業界からは次のようなコメントが寄せられた。


    吉田淳一・不動産協会理事長 今回の路線価では、標準宅地の評価基準額の対前年変動率の全国平均が3年連続で上昇した。上昇率は前年よりも拡大し、下落が続く地域でもそのほとんどで下落幅が縮小するなど、日本経済の緩やかな回復が地価に反映された。一方、ウクライナや不安定な中東情勢などを背景とした資源・エネルギー価格の動向、金利・為替の変動、海外経済の下振れ懸念など、経済の先行きは非常に不透明で、今後の地価動向を注視する必要がある。

    坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 都道府県ごとの評価基準額では16県が下落して2極化が顕著だ。16県の空き家率は、住宅・土地統計調査の全国平均13・8%をいずれも上回っている。国土交通省から「不動産業による空家対策推進プログラム」が発表され、宅建業者を通じた流通活性化で空き家対策を推進している。ハトマークグループは、宅建協会への空き家の管理活用支援法人指定への支援や空き家相談体制の整備、担い手の育成で空き家等の解消と全国的な地域活性化に取り組む。

    中村裕昌・全日本不動産協会理事長 24年の路線価は、評価基準額の対前年変動率の全国平均値が3年連続で上昇し、かつ上昇率も上向いた。都道府県庁所在都市の最高路線価も上昇は37都市と前年より増加し、下落が1都市に減って地価の回復基調を示した。1日から報酬額改正告示の施行など国土交通省も空き家対策プログラムを打ち立てて傾注し、空き家等の利活用と地方創生は密接な関係を持つ。全日ならではの全国の成功事例の横展開など空き家対策を推進する。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.02

    東急、バンコクでSA開発事業に参画

    ―154室で27年開業、サハGと共同事業


    東急はタイ・バンコクの再開発地・キングスクエアでサービスアパートメント(SA)の開発事業に参画する。6月に現地法人の東急ディベロップメント(タイランド)を設立。タイの大手財閥系企業サハグループが昨年設立した新会社に、東急ディベロップメント(タイランド)が35%出資し、開発に参画する。10月に着工し、27年の開業を予定する。

    SA「デュシットスイーツキングスクエアバンコク」はRC造28階建てで、客室数は154室。一部の客室はホテルとして短期の宿泊も可能。客室面積は70㎡以上中心で、間取りは1~2ベッドルームとペントハウス。プールやキッズクラブ、コワーキングスペースなどを併設する。近隣に開校したイギリス系のインターナショナルスクールの生徒の家族や教職員が主なターゲット。運営は世界18カ国・300軒以上のホテルやリゾートなどを展開するデュシット社に委託する。バンコク中心部から約10㎞南に位置するキングスクエアでは、サハグループが約14㏊にわたる一帯の開発を進め、商業施設「キングスクエア」が25年に開業予定。東急は22年に同グループと合弁会社を設立し分譲マンション(222戸、26年竣工予定)の開発を開始しており、SAが同地での事業参画の2件目となる。分譲マンションは昨秋に販売を開始し、半分弱まで進捗しているという。

    また、東急の現地法人とサハグループは、8月に不動産管理会社「サハ東急プロパティマネジメント」(東急側が49%出資)を設立し、キングスクエアエリアで不動産管理を行う。住宅や商業施設、近郊で同グループが開発するオフィスビルの管理を行うほか、シャトルバスの運行などのエリアマネジメントも担う。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.02

    首都圏の新築マンション管理費2万円台

    ―カンテイ調べ、修繕積立金ほぼ1割上昇


    東京カンテイは1日、分譲マンションの面積を70㎡に換算した管理費、修繕積立金、修繕積立基金の調査レポートを公表した。月額で、首都圏の23年における新築分譲マンションの管理費は2万358円(前年比4・1%増)と上昇して、初めて2万円台に達した。修繕積立金は8729円(9・9%増)と上昇。修繕積立基金は79万4753円(17・6%増)だった。

    調査では、新築マンションの価格上昇に連動してランニング・コストも上昇傾向だが、「購入者の負担に直接影響してくることから価格上昇の度合いに比べると管理費や修繕積立金の変動は幾分かマイルド」とみている。修繕積立基金は上昇が9年連続。価格上昇に伴って急激に水準を押し上げてきている。2000年当時に比べると23年は3倍に上昇しており、ランニングコストとなる修繕積立金を抑える代わりに、購入時に必要な費用を確保する傾向がみられるという。

    23年に中古流通した分譲マンション(70㎡換算)に関して首都圏の月額で、築1年の物件で管理費が2万213円、修繕積立金が8377円で、合計は2万8590円だった。築10年の物件では管理費は1万5606円、修繕積立金は1万3422円の合計2万9028円。建築時の13年に比べて月額のランニングコストは全般的に上昇しており、合計が3万円前後で平準化しつつあるとした。また、築15年は管理費が1万4749円、修繕積立金が1万3888円の合計2万8367円。築20年は管理費が1万3428円、修繕積立金が1万5328円で、合計2万8756円。調査では「基本的に、築15年前後までは修繕積立金が増額傾向、管理費は減額傾向にある」とした。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.02

    フラット35金利、3カ月ぶり下降

    住宅金融支援機構が発表した7月のフラット35の融資金利幅(買取型、融資率9割以下、借入期間21年以上)は、1・84%(前月比△0・01%)~3・45%(+0・01%)となった。取扱金融機関が提供する金利で最も多い最頻金利は1・84%(△0・01%)で3カ月ぶりの下降。融資率が9割超の場合の金利幅は、1・95%(△0・01%)~3・56%(+0・01%)、最頻金利は1・95%(△0・01%)で3カ月ぶりの下降。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.01

    5月の住宅着工戸数、前年同月比で減少

    ―国交省、分譲マンションは増加が連続


    国土交通省は6月28日、5月の建築着工統計調査報告を公表した。新設住宅着工戸数は前年同月比5・3%減の6万5882戸で、前月の増加から再び減少に転じた。新設住宅着工床面積は519・8万㎡(前年同月比5・3%減)で再び減少。分譲マンションは1万976戸(13・2%増)と2カ月連続の増加だったが、持家、貸家、分譲戸建てはいずれも減少した。

    持家は1万7217戸(8・7%減)で減少が30カ月連続となった。そのうち、民間資金による持家は1万5812戸(7・6%減)、公的資金による持家は1405戸(19・4%減)で、減少が長期間続いている。国交省は「物価上昇で戸建てのマインド低下が続き、回復の兆しはまだみられない」とした。

    貸家は2万7175戸(5・3%減)で、前月の増加から再度減少に転じた。民間資金による貸家が2万5298戸(4・0%減)と減少し、公的資金による貸家も1877戸(19・8%減)で減少した。「事業者に尋ねると、収支の合うエリアでは工事の受注が堅調と聞く。工事の平準化を進めているため、単月では減少も出るが年間では堅調」(国交省)と話す。

    分譲住宅も、2万1207戸(0・9%減)で若干ながら再び減少となった。マンションの増加は、大型物件の着工が多かったことが影響した模様だ。戸建て住宅は1万105戸(13・0%減)で辛うじて1万戸台に乗せたが19カ月連続の減少だった。

    民間非居住用建築物の着工床面積は263万㎡(8・5%減)で減少が2カ月連続となった。使途別では事務所が49万㎡(35・6%増)、店舗が31万㎡(1・4%増)、工場が47万㎡(2・8%増)とそれぞれ増加したが、倉庫は61万㎡(28・1%減)だった。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.01

    23区5月新築マンション、契約率40%台に

    ―本社調べ、1~5月供給は前年比3割減


    不動産経済研究所は東京23区における5月の新築分譲マンション需給動向をまとめた。供給戸数は前年同月の886戸に対し600戸と減り、戸当たり平均価格は前年の1億1475万円から1億326万円に下がった。戸数は4カ月連続、価格は3カ月連続で前年実績を下回った。契約率は78・6%から42・7%へと約36㌽も低下した。高額物件の売り出し戸数が前年よりも減り、戸数と価格、契約率がいずれも下押しされた。全体に供給戸数が減っている分、高額住戸の多寡で月ごとの数字が変動しやすくなっている。

    当月に1期販売が始まったのは5物件(140戸)と、前年5月の13物件(493戸)に比べ大幅に少ない。一方、期分け販売は前年よりも67戸多い460戸。価格帯別に供給戸数をみると、1億円台の住戸が前年の230戸から143戸、2億円台が62戸から49戸、3億円台が36戸から4戸といずれも減った。在庫数は2151戸と、前月の2157戸とほぼ同数。ただ前年5月との比較では443戸増加している。

    区ごとの供給戸数は足立区が153戸と最多。4月も足立区の供給が最も多かった。千代田、文京、墨田、渋谷、板橋の5区は供給がなかった。平均価格は首位の中央区が2億241万円、次点の豊島区が1億9169万円だった。

    東京23区では今年1月から5月までの間に合計2725戸の新築マンションが供給された。一方、前年の同期間の供給戸数は3950戸。今年の実績は対前年比で1200戸ほど少なく、3割落ち込んでいる。都区部のマンション市場は近年活況が続いてきたが、市況に変化が生じ始めているとの見方がある。

    (提供/日刊不動産経済通信)

  • 2024.07.01

    住まいのトレンド予測は「断熱新時代」

    ―リクルート、住宅で多世代の健康を実現


    リクルートの運営する住まい領域の調査研究機関のSUUMOリサーチセンターは、24年のトレンドワードを「断熱新時代」と発表した。国際的に全世代の健康寿命の延伸に室温が重要であることや、住宅の断熱性能を強化する選択肢が増えたこと、学校や公共施設でも注目度が上昇していることなどから、断熱性能への関心が高まっているとみている。

    SUUMOリサーチセンターは、北海道ニセコ町でも冷暖房費を月額約6000円に抑える高い断熱性能を持つ賃貸住宅や、築50年近い戸建てでUA値0・39まで性能を向上するリノベーションの事例を紹介した。加えて、住宅のうち、過ごす時間の長い一部の空間だけで断熱性能を高めるリノベーションを行う選択も可能となったほか、大型マンションや団地でも管理組合が断熱改修を実施する事例があるとした。学校や公共施設でDIYによる断熱強化のワークショップを行う事例などもみられるという。SUUMOの笠松美香副編集長は「住宅の室温と健康との関連が明らかになって断熱性能の高い住宅が増え、消費者が身近な関心事として捉えるようになった」と話す。

    課題として、日本の住宅評価制度が、建物に対する評価が低く、住宅への投資が資産につながらない現状を指摘。鳥取県で中古住宅の性能や品質を価値に反映する新しい査定を取り入れた点を評価した。断熱性能を強化する投資が、消費者に広く受け入れられるかという点について笠松氏は、「断熱等級を(ZEH基準の)5から6に引き上げると、かなりエネルギーの消費が抑えられる。サッシのグレードを高めて80万~100万円の費用を必要とするが、その関心も高まっていると感じている」とした。

    (提供/日刊不動産経済通信)