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市況・マーケット

~東急リバブル不動産鑑定士が見る~「平成24年 都道府県地価調査」-5

2012年10月1日

~東急リバブル不動産鑑定士が見る~「平成24年 都道府県地価調査」

V.3大都市圏・地方圏住宅地の推移(2)

圏域別住宅地の年間変動率推移

3.名古屋圏

平均で△0.2%(前年△0.7%)と下落幅が縮小し、下落率は三大都市圏のなかで最も小さくなりました。

愛知県は全国で唯一、都道府県単位で±0.0%(前年△0.5%)と横ばいとなりました。
特に、西三河地域(岡崎市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、知立市、高浜市、みよし市、幸田市)では±0.9%(前年△0.2%)と上昇し、名古屋市横ばいとなるなど、製造業の業績回復による生産年齢層の住宅取得意欲の高まりが地価に反映しています。

名古屋市では、地下鉄桜通線野並-徳重駅間の延伸効果が継続する緑区で+1.1%(前年+1.0%)と2年連続で上昇した地域がある一方で、南海トラフ巨大地震の津波被害が懸念される、沿岸部の中川区、港区、南区で下落が目立つなど、地域に偏重が見られました。

4.地方圏

平均で△3.2%(前年△3.7%)と引き続き下落しましたが、下落率は縮小しています。

地方ブロック中心都市では、札幌市で△1.8%(前年△3.4%)、広島市で△2.3%(前年△3.1%)、福岡市で△0.3%(前年△1.7%)と下落幅が縮小し、仙台市は+0.8%(前年△2.2%)と上昇に転じています。

特に、東日本大震災被災地である宮城県、岩手県においては、高台の住宅地を中心に移転需要に伴う地価上昇が顕著です。
全国の地価上昇地点の10位以内は、1,2位が岩手県内、3〜10位が宮城県内の地点となっており、地価上昇が復興や住民生活に与える影響について懸念も出ています。

また、福岡市はマンション需要の高まりから上昇地点も見られました。

このほか、北陸新幹線開業予定の金沢駅周辺、大阪へのアクセスが向上した南草津駅周辺などに上昇地点が見られました。

ただし、上記以外の地方圏の住宅地は、人口減や中心市街地の衰退などの構造的な要因により、地価の下落傾向が継続しています。

【まとめ】

今回の地価調査においては、全国的に下落幅が縮小し、都心部を中心に上昇・横ばいの地点も増加しています。
特に東京圏においては、東京都目黒区で横ばい、横浜市で下落幅縮小、川崎市で上昇に転じるなど、東急沿線と重なるエリアにおける地価回復の動きが顕著となっています。
このことから、当該エリアは従来からの人気と低金利、住宅施策の下支えにより、下落基調は脱したと考えられます。
また、地価の先行指標とも言われる東証REIT指数を見ても、5月以降は上昇傾向にあることから、概ね地価は底入れしたものと判断されます。

東急リバブル 鑑定コンサルティング事業課

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