戦略的不動産活用のススメ

不動産価値を最大化することで企業の生産性を確実に高める

CRE戦略

事業承継・M&A

税金・コスト

評価・調査

不動産価値を最大化することで企業の生産性を確実に高める

不動産価値を正確に把握するためには、専門家によるサポートが不可欠だ。
眠っている不動産が思わぬ資金源になる。
そんな不動産の持つ可能性について、専門家に話を聞く。

 様々な分野で変化の激しい現代ですが、本業が順調で資金的に余裕があるなら、不動産は所有したほうがいいと思います。事業を次の世代に引継ぐ場合も、M&Aをする場合も、あるいは事業を整理する場合も不動産は有効に働くからです。ただし、注意すべき点は「利回り」をしっかり把握することと、良い立地の不動産を選ぶことです。
 不動産を所有することは意義のあることですが、企業はさらに所有不動産の有効活用を図るべきだと思います。不動産の専門的な知識無しに利回りを高く運用することは困難です。信頼できる専門家を選び、プロのノウハウを取り入れ、意見を聞くだけでなく積極的に任せていくことで収益性を高めていくことが肝要でしょう。たとえば、賃貸物件にした場合、入居率が90%でうまく行っているといっても、実際はもっと高い数字を目指せる可能性も少なくありません。利回り重視という点では、1%も見逃せる数字ではありません。不動産は持つことだけに価値を認めず、そこからどれだけの利回りを上げられるかということが重要です。
 最近は後継者不在による事業承継問題が注目されていますが、これは経営者がブレーンを育ててこなかったことがいちばんの原因だと思います。

税理士法人 深代会計事務所 理事長〈公認会計士・税理士〉
深代 勝美

資産税のプロ集団として豊島区池袋を拠点として活動。相続税の申告業務にとどまらず、相続・事業承継対策やお客様の財産管理のサポートまで幅広く対応。お客様の声に沿い一緒に解決していくことを信条に運営している。

普段から将来のためにしっかりした人材を育てることが大切ですが、残念ながら会社をたたまなくてはいけないという場合も、不動産を処分に限らず運用、活用まで含めて検討することを推奨します。M&Aの場合でも、土地は残して事業だけ売ったほうがいい場合もありますし、残した不動産を分譲マンションにするなど、専門家と相談して自分の土地をしっかり有効活用してほしいと思います。
 2022年に生産緑地法の期限切れにより大量の土地が放出され、所有する不動産の価値に影響が出るのではないか、という心配の声を多く聞きますが、生産緑地法は基本的に固定資産税を安くするためのもので、相続税の納税猶予もあります。期限切れ後も、土地を持ち続ける人は多くいると思いますし、政府も一度に大量の土地が放出されて、バブル期のように価格が暴落することのないように、いろいろな対策を打つはずなので、過度に心配する必要はないと私は思います。しかし、蓋を開けてみなければわかりませんので、そういった状況の際にも正しい判断ができるように、専門家の情報に耳を傾け、所有不動産を正しく把握することが大切でしょう。

税理士法人 深代会計事務所 理事長〈公認会計士・税理士〉
深代 勝美

資産税のプロ集団として豊島区池袋を拠点として活動。相続税の申告業務にとどまらず、相続・事業承継対策やお客様の財産管理のサポートまで幅広く対応。お客様の声に沿い一緒に解決していくことを信条に運営している。

 あまり知られていませんが、所有不動産にかかる固定資産税の払いすぎにより、還付金を受け取るケースが多発しています。2012(平成24)年8月28日に総務省が発表した報道資料、「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」で、評価額に多くの誤りがあったことが明らかになりました。報告書によると、平成21年度から平成23年度の3年間、調査対象は東北3県を除く全国1592市町村で、固定資産税の取り過ぎによる減額修正、税金還付がなんと25万件以上もありました。その後も課税額の誤りは後を絶ちません。
 これらの原因は、税額の決定の仕組みにあります。固定資産税額の決定の流れは、まず建物のオーナーが、登記後に施工図面などを課税庁に任意提出します。課税(評価)額を決定する担当者は提出資料を元に、該当の建物を再建築する想定で必要な費用を点数化し、「固定資産税評価額」を算出します。その評価額に一定の税率をかけて課税されたのが固定資産税です。問題は、評価を行う課税庁の担当者の多くは「建築・設備」に関する正確な知識を有しておらず、さらに、この評価額をどのように算定したかは説明義務が無く、私たちはその詳細な内訳を知ることが出来ないという現実です。
 誤った評価の原因の一例として、建築資材の評価では、同じ鉄骨でも主体構造部として使用しているか、補助部材として使用しているかで評価が異なります。実際には補助部材で使用されている鉄骨を、主体構造部として評価している場合は主体構造部の過大評価となります。評価額はその点数の積み重ねで算出され、固定資産税評価額が大きな物件では億単位の過払い税金となっていることも多いにあり得るのです。

株式会社建物鑑定 代表取締役
佐藤 雅宣

建物鑑定を専業としている一級建築士事務所。日本で初めての建物鑑定専門の会社として「建物」の収益向上や建物に起因する諸問題を予防したり、解決することにより消費者の保護・顧客満足・不動産価値向上を目指す。

 不動産は企業の重要な資産です。税金でさえ過徴収される可能性があり、それを見逃している例が多く発生しているわけですから、所有不動産の正確な価値を把握し直すことは、企業にとっての急務だと思います。自社の所有する不動産がどのような部材や部品で構成されているかを記録し、資産の運用管理にも活用できる「建物資産管理台帳」を作成するのも有効です。
 不動産価値を正しく把握するためには専門家の力を積極的に利用していくことも必要です。所有する不動産の価値、メリットをいかに最大化し、企業運営に反映させていくか。今、企業に求められているのは、そんな不動産に対する意識の変革だと思います。

株式会社建物鑑定 代表取締役
佐藤 雅宣

建物鑑定を専業としている一級建築士事務所。日本で初めての建物鑑定専門の会社として「建物」の収益向上や建物に起因する諸問題を予防したり、解決することにより消費者の保護・顧客満足・不動産価値向上を目指す。

※この記事は、AFFLUENT for President 2018年10月発行号に掲載された広告を転載したもので、所属・役職等は掲載当時のものです。