セミナーレポート

NIKKEI Real Estate Summit 特別カンファレンス
「不確実な時代を生き抜く、企業不動産活用論」

「企業不動産」で成長つかむ

主催:日本経済新聞社
協賛:東急リバブル株式会社ソリューション事業本部

CRE戦略

マーケット

「企業不動産」で成長つかむ

コロナによる経済の先行き不安と不確実性が高まっている現在、企業はこの難局をどう乗り越えるべきか。こうした環境で成長を続けるための条件や経営者が持つべき視点、強い財務体質の構築に重要な経営資源である「企業不動産」の活用について、モルガン・スタンレーMUFG証券のロバート・フェルドマン氏と東急リバブルの柿沼徹也氏が講演した。

基調講演

ロバート・フェルドマン氏

モルガン・スタンレーMUFG証券 シニアアドバイザー

ロバート・フェルドマン

 今後の日本経済を左右するのは脱炭素化とデジタルトランスフォーメーション(DX)への挑戦だ。

 脱炭素社会の実現に向け、様々な分野で投資が始まりビジネスチャンスが生まれる。再生可能エネルギーや水素エネルギーへの転換は確かに簡単ではないが、日本は1950~70年のたった20年間で主力エネルギーを石炭などの固形燃料から石油燃料に切り替えた実績がある。持続可能な社会への構造変革は多様な投資が支えている。米国のエンバイアステートビルは省エネ改修でエネルギー利用の約4割減に成功し、安価風力のグリーン電力によって家賃を下げても収益を上げられる新たなビジネスモデルを構築している。

 いまのコロナ禍をそうした変革を促すきっかけと捉えるか否かで日本の未来は大きく変わる。例えばいま世界各地で「場所の価値」に変化が起き始めている。リモートワークの浸透で都心近郊に暮らす必要性は弱まり、地方の価値が少しずつ高まり始めている。

 これからの企業経営には、新たな技術を最大限に活用して社会構造を根本から変革する覚悟が必要だ。そして不動産の有効活用がそのカギを握ることを忘れてはならない。

特別講演

柿沼徹也氏

東急リバブル 常務執行役員
ソリューション事業本部 副本部長

柿沼 徹也

 コロナ禍の人々の行動変化が原因で、急激な業績悪化に陥った業態がある一方、新たな需要が生まれた分野もある。コロナ以前の状況に完全に戻ることは考えにくく、予測不能な変化が繰り返される時代が始まったと捉えるべきだろう。

 不動産分野で厳しい状況なのはホテルや商業施設などで、国内外の人の流れが戻らない限りはその状況が続く。ただ、「自由に行動したい」という人々の欲求は変わらず、状況が変わればあっという間に回復する可能性を秘めている。

 リモートワークの浸透でオフィスの空室も増えているが、好立地で築浅のビルやグレードの高い大型オフィスビルなどは依然人気が高い。築年数が経つ小規模オフィスビルなどは新たなトレンドに対応するため建て替えや再開発の可能性が高まる。

 一方、住宅は働き方の変化や在宅時間の増加によって住み替え需要が強まっている。巣ごもりで電子商取引(EC)需要が急増した物流施設も好況だ。

不動産市場の動向(今後)

 感染症拡大や自然災害のような予測不能な有事を乗り切る体力を付けておくことが、企業経営の重要課題となってきた。そのカギを握るのが企業不動産の最適化だ。事業への寄与度や収益貢献度が低い不動産を所有していることは体力の消耗につながり、不測の事態のボトルネックになりかねない。逆に優良資産からの不労所得は企業の選択肢を広げる。不動産も定期的に健康診断を行い、根本治療による体質改善が必要だ。事業の最適化につながる企業不動産の最適化を早期に検討することをお勧めしたい。

※本記事は2021年3月23日(火)付 日本経済新聞 朝刊掲載の記事体広告を再構成したものです

※会社名、所属部署名、役職はセミナー当時のものです