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経営にとってファシリティとは?
アフターコロナで求められるファシリティマネジメントを解説

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経営にとってファシリティとは?アフターコロナで求められるファシリティマネジメントを解説

総務部の仕事をしている方は「ファシリティ」という言葉を耳にする機会があるでしょう。ファシリティについて、何となくは分かるものの詳しくは理解していないという方も多いものです。
施設や設備という意味を持つファシリティですが、経営においてその意味合いはより深く、経営活動としての総合的な施設管理のことを指します。また、その管理手法であるファシリティマネジメントが注目されているのです。
この記事では、ファシリティやファシリティマネジメントについて、分かりやすく解説していきます。本記事を参考に、ファシリティマネジメントを通して、より安定した経営基盤を作れるようにしましょう。

目次

  1. ファシリティとは
    1. ファシリティの管理・運営手法である「ファシリティマネジメント(FM)」とは
  2. ファシリティマネジメントの起源と日本での普及
  3. 昨今求められるファシリティマネジメントとは?
    1. 働き方改革に伴うファシリティマネジメント
    2. リモートワークに伴うファシリティマネジメント
    3. アフターコロナで求められるファシリティマネジメントとは
  4. ファシリティマネジメントは重要な経営活動の一つ

ファシリティとは、一般的には「施設」や「設備」という意味を持ちます。しかし、経営におけるファシリティは単なる施設や設備のことのみを指すのではありません。経営におけるファシリティは、ハード面とソフト面で次のような意味を持ちます。

  • ハード面:企業の施設、設備や備品類に関する総称
  • ソフト面:仕事をする人の環境、その施設を利用する環境

ハード面としては業務に関する施設や設備・備品などの物的な資産や空間の総称を指し、ソフト面においては、その資産や空間で作る環境・働く環境を意味します。つまり、経営におけるファシリティとは、設備や施設を保有し、経営するために最適な状態で運営する総合的な経営活動の1つと言えます。事業を支える「人」「モノ」「カネ」「情報」と同じように、経営基盤として「ファシリティ」も位置付けられているのです。

事業をしていくためには、ファシリティが揃っているだけでなく、適切に管理・運営することが重要になります。その管理・運用などに関する手法が「ファシリティマネジメント(FM)」です。

ファシリティマネジメントを推進する、公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会によると、次のように定義されています。

ファシリティマネジメント(FM)とは、「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」のことです。

従来から施設管理手法というものはありましたが、施設の維持や保全を目的としたものでした。一方、ファシリティマネジメントによる施設管理は、維持・保全だけでなく「よりよいあり方」を追求するものと言えます。

ファシリティマネジメントは、オフィスだけでなくあらゆる施設と働く環境を対象としています。ファシリティマネジメントを実施することにより、経営にとって最適なファシリティの在り方が明確になり、有効活用によって経営効率の向上にもつながります。

ファシリティマネジメントの起源は、1980年代のアメリカとなります。オフィス家具メーカーのファシリティ有効活用を研究するファシリティマネジメント研究所により提唱されたのが始まりです。その後、アメリカでファシリティマネジメントの国際機関が設立され、世界中に広まっています。

日本では、1980年代後半にファシリティマネジメントの概念が導入されました。1987年には、ファシリティマネジメントの推進委員会が発足しています。しかし、当時バブル期であった日本では、スクラップ&ビルドの考えが普及しており、施設を最適化するファシリティマネジメントは浸透しにくい方式でもありました。

バブル崩壊後、経済成長が緩やかになりスクラップ&ビルドの考えが減少し、反対に施設を長期間有効活用することが求められるようになったといえるでしょう。新しい経営方針としてファシリティマネジメントが理解され普及していったのです。一部の大手企業では、ファシリティマネジメントを専門に行う部署があるほどに普及しています。現在では、企業だけでなく地方自治体にもファシリティマネジメントが広がっています。

新型コロナウイルスの影響により、働き方に大きな変化がある昨今。働き方の変化に応じて求められるファシリティマネジメントにも変化があります。

近年求められるファシリティマネジメントの重要なキーワードとして次の3つがあります。

  • 働き方改革
  • リモートワーク
  • アフターコロナ

働き方改革の推進に伴い、次のような対策を取る企業が増えてきています。

  • 残業時間の削減
  • フレックスタイム制の導入
  • ワークプレイスの導入

これらの導入には、オフィス環境の改善が重要になります。労働時間の見える化、誰でも働きやすいツールや設備の導入、既存システムの改善を進めていくことが重要です。結果として、残業時間を削減したり、フレックスタイム制を導入したりして、働きやすい環境を整えることは、採用力向上や従業員と企業とのエンゲージメント向上にもつながります。

また、働き方改革の推進に伴い注目されているのがワークプレイスです。ワークプレイスとは、オフィスに限らず人が仕事をしている場所のことを指します。

働き方改革の推進で、働く場所は特定のオフィスだけではなくなりました。外部のコワーキングスペースやサテライトオフィス、在宅などさまざまなワークプレイスが生まれています。

そのワークプレイスを快適にするために、ファシリティマネジメントが重要になります。必要なワークプレイスの調査や企画・構築・運用を最適化することで、働き方改革の推進にもつながるでしょう。

コロナ禍でのリモートワークの普及は、働く場所の概念やワークプレイスの変化を急速に進めました。オフィスに出社する必要がなくなり、自分の好きな場所・好きな時間で働ける環境に変化しつつあります。

従来のように、従業員同士が同じ環境・同じ時間で働くことは当たり前ではなくなってきています。一方、リモートワークの普及で問題となるのが、コミュニケーションの減少でしょう。同じ空間で仕事をする機会が減ることで、日常的なコミュニケーションを取ることが難しくなっています。

従業員同士のコミュニケーションを促進させるため、設備やツール面で支える必要があります。会議ツールの導入や従業員が出社したときのために、オフィス内にコミュニケーションをとるスペースを設けるなど、減少した対面コミュニケーションを補うための仕組みづくりなどが必要となるでしょう。

また、コミュニケーションを推進させる対象は従業員同士だけではありません。顧客に対しても直接会っての対応が難しくなってきており、対面せずに質の高い対応をするための設備やツールでのサポートが必要になります。設備やツールなどの推進のためにも、ファシリティマネジメントが重要です。

新型コロナウイルス収束の見通しは依然不透明です。しかし、アフターコロナを見据えてのファシリティマネジメントは重要なテーマの一つです。働き方は、コロナ禍以前同様に出社する働き方と、在宅と出社を使い分ける働き方の二極化が進行すると予測されます。

オフィスの使い方が変わってくる企業は多くなり、見直しが必要になるでしょう。また、仮に収束しても、おそらく感染症対策は続けていかなければなりません。多くの施設で感染症対策が当たり前になり、オフィスはリモートワークの浸透で設備の見直しが必要になるでしょう。具体的には、次の3点の見直しとなります。

  • センターオフィス(企業の主たる拠点)と自宅やサテライトオフィスの使い分け
  • リモートワーク拡充によるメインオフィスの縮小化
  • リモートワーク拡充に向けたICT投資や在宅勤務環境への補助

実際にはこれまで以上に感染症対策の見直しと強化、オフィスの形の見直しが求められるようになります。これらを推進するために、設備の最適化としてファシリティマネジメントを進めていくべきでしょう。

ファシリティおよびファシリティマネジメントの定義、昨今の事情やアフターコロナで求められる感染症対策についてお伝えしてきました。ファシリティとは、設備や施設を最適化することを指し、ファシリティの管理手法としてファシリティマネジメントがあります。

ファシリティは、人事・財務に並ぶ事業に重要な経営基盤の一つでもあります。働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、働く環境に対する考え方が大きく変化している昨今では、緻密なファシリティマネジメントが重要になります。

本記事を参考に、ファシリティマネジメントを行い、環境の変化に柔軟に対応できる経営基盤を構築しましょう。

宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)
逆瀬川 勇造 氏
Yuzou Sakasegawa

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事。
2018年より独立し、不動産に特化したライターとして活動している。

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