土地活用(不動産活用)のアイデア5選!
失敗しない土地活用のポイントとは?
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土地は持っているだけでは、税金や維持費のかかるマイナスの資産と言えます。価格が大きく変動するリスクを抱えていることから、収益を生み出さない土地は経営の妨げになる可能性があります。
企業経営にとって、土地を有効活用してプラスの資産にすることは重要な課題です。とくに、遊休不動産を所有している場合や事業継承の際に、土地活用を検討する必要があります。
本記事では、土地活用のポイントやアイデアについて、詳しく解説していきます。
目次
1. 失敗しない土地活用(不動産活用)のポイント
土地は、所有しているだけでも固定資産税や管理コストがかかる金銭的リスクがあります。
さらに、管理が行き届いていない土地では、近隣トラブルや擁壁がある土地の場合、擁壁の倒壊といった問題に発展する可能性もあります。
それらのリスクを避けるためには、土地活用をする必要があります。しかし、やみくもに土地活用をしても失敗する恐れもあるので、活用方法は慎重に検討しなければなりません。
ここでは、土地活用に失敗しないためのポイントを見ていきましょう。
具体的には、以下の3つです。
- 土地活用(不動産活用)は目的から考えるのが重要
- 法規制も確認が必要
- 周辺地域の競合やニーズを把握
1.1. 土地活用(不動産活用)は目的から考えるのが重要
土地活用と言っても、その方法は多岐に渡ります。土地活用の目的に応じて最適な方法が異なるため、まずは目的を明確にして、目的から土地活用方法を検討する必要があります。
例えば、所有している土地を資金化するのであれば、売却やリースバックを検討するとよいでしょう。収益を得ることを目的とするなら、事業を営むなど収入が得られる活用方法を検討する必要があります。
また、土地活用の目的には、税金対策や安定性という選択肢もあります。税金対策が目的の場合、賃貸経営や保育園、サービス付き高齢者向け住宅を検討するというのも一つの手段となります。賃貸経営であれば、固定資産税や相続税の面で高い節税効果を得られるほか、保育園やサービス付き高齢者向け住宅であれば、条件を満たすことで補助金を受けるといったこともできるからです。
また、安定性を目的とする場合、太陽光発電であれば、10年間、もしくは20年間は固定価格で電力を買い取ってもらうことができます。最初にしっかりシミュレーションすることで、長期的に安定した運営を目指すことも可能です。
このように、目的に応じた土地活用方法を検討することで、活用が成功する確率を高めることが出来るでしょう。
1.2. 法規制も確認が必要
土地を活用するには、法規制を確認する必要があります。とくに、所有する土地がどの用途地域に該当するのかは、しっかり把握しておくことが重要です。
都市計画法によって、土地は市街化区域と市街化調整区域に分けられます。市街化を抑制する目的を持つ市街化調整区域の土地を、活用するのは難しいといえるでしょう。
ただし、市街化調整区域であっても、自治体の条例によっては建物が建てられるケースもあるため確認が必要です。
一方で、都市の開発を目的とする市街化区域なら、建物の建設も可能であり土地活用の幅は広がります。しかし、市街化区域には用途地域が定められているので、注意しなければなりません。
用途地域では、大きく「住居系」「商業系」「工業系」に分けて土地の用途を定めており、用途地域ごとに建てられる建物や建築基準が異なります。例えば、工業専用地域ではマンションなどの住居が建設できません。
また、低層住居専用地域では店舗や商業施設・娯楽施設は制限がかけられたり、そもそも建設自体が不可能であったりします。建設が可能な建物であっても、建ぺい率や容積率・高さ制限などがそれぞれ定められており、基準を満たす必要があります。
所有する土地の用途地域や条例・建築基準などを把握したうえで、建物の建設などを検討することが大切です。
1.3. 周辺地域の競合やニーズを把握
土地活用をするには、周辺地域の競合やニーズを徹底的にリサーチしたうえで活用方法を判断することが大切です。周辺に、検討している施設と同様の施設がどれくらいあるのか?建設した場合のニーズはどうか?など、調査するようにしましょう。
リサーチするうえでは、自分で調べることも重要ですが、周辺地域の不動産会社やスタートする事業分野のプロからアドバイスをもらうことも検討するとよいでしょう。
2. 土地活用(不動産活用)のアイデア5選
ここでは、具体的な土地活用アイデアとして次の5つを紹介します。
- 駐車場経営
- 太陽光発電事業
- 物流施設
- マンション経営
- 保育所・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの福祉施設
2.1. 駐車場経営
コインパーキングや月極駐車場を経営する土地活用方法です。駐車場なら建物を建設する必要がなく、必要な設備も多くはないため初期費用を抑えての土地活用が可能です。
また、業態転換など、途中で土地活用方法の変更もしやすいというメリットもあります。ただし、収益性は比較的低く、税制上の優遇措置も受けられない点には注意が必要です。
駐車場経営は、ローリスク・ローリターンの傾向があるとはいえ、安定性を目的とした土地活用を検討している場合に適した方法と言えるでしょう。
2.2. 太陽光発電事業
太陽光パネル設備を設置し、太陽光発電事業を営む方法もあります。集客などの必要性がないため、郊外の土地でも活用できるというメリットがあります。
高い収益は期待できませんが、環境対策や長期的な収益、自社消費することによる経費削減などは見込めるでしょう。
2.3. 物流施設
高速道路のICや幹線道路付近の土地を所有している場合、物流施設を建設して土地活用することも可能です。物流施設は、規模にもよりますが、例えば倉庫を建設するだけであれば大規模な設備投資をしなくてもスタートできます。
また、建物を立てずに、事業用定期借地権として物流会社等に土地を貸し出すというのも一つの手段です。
2.4. マンション経営
一般的な土地活用方法と言えるのが、マンションを建設して賃貸経営する方法でしょう。立地が重要になりますが、住む場所の需要は高く、運用次第で高い収益を目指せます。
また、賃貸物件を建設することで固定資産税の減税効果も見込め、節税対策も期待できます。
ただし、初期費用が高額になる傾向がある点には注意が必要です。満室に近い状態を保てれば数年で初期費用を回収できますが、空室が多くなれば損失が大きくなる可能性もあります。そのため、需要のある立地かどうかを判断することが大切です。
2.5. 保育所・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの福祉施設
保育所は安定した稼働が見込め、待機児童の解消で地域貢献にもつながる土地活用方法です。また、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームなども、高齢者人口の増加に伴い必要性が高まっている傾向にあります。
これらの施設の建設や整備では、国や地方自治体から補助金が設けられている場合もあり、活用できればコストも抑えられるでしょう。ただし、事業者や自分で経営する場合は従業員の確保が難しいことがあり、建設時などの初期費用も高額になるケースもあるため注意が必要です。
3. 土地活用(不動産活用)の手法
土地活用の手法としては、次のような方法があります。
- 等価交換
- 信託受益権
- 売却
それぞれの違いを理解したうえで、検討することが大切です。
3.1. 等価交換
等価交換とは、土地の所有者がディベロッパーに土地を提供し、ディベロッパーがその土地に建てた建物の所有権を、分け合うことをいいます。建物の建設費用をディベロッパーが負担するため、土地の所有者が資金の借入をする必要がないというメリットがあります。
ただし、土地の所有権はディベロッパーとの共同となるため、単独での所有権は失われます。また、収益もディベロッパーとの折半となるので、自己資金で建設して活用するよりも利回りが低くなるというデメリットもあるため注意が必要です。
3.2. 信託受益権
信託受益権とは、信託会社に土地を信託することで、土地活用の収益の一部を配当金として受け取る権利のことを言います。信託会社との信託契約締結の際に、信託受託権を持つことで配当金を得られるようになります。
土地を信託会社に預ける場合、土地の運用は信託会社が行うため、土地の所有者がすることはほとんどありません。信託会社は土地の運用益から、税金や経費、信託会社への報酬などを差し引いたお金を配当金として土地の所有者に分配します。
信託受益権を売買する場合、金融商品に関する法律の規制を受けるため、ある程度知識をつけておくことをおすすめします。また、宅地建物取引業法の説明義務に適用される可能性もあるため、注意しなければなりません。
3.3. 売却
土地活用の目処が立たない場合や、時間をかけずに資金化したい場合は売却を検討するのも一つの手段です。売却すればまとまった資金が入るため、元手にして別の不動産活用の資金に充てられます。
また、不動産を手放すので固定資産税や管理費などのコストの削減にもつながるでしょう。
ただし、売却には時間を要する点に注意が必要です。所有不動産の購入ニーズなどを確認し、状況に応じた戦略を立てて売却に臨むことが大切です。
上記の通り、等価交換、信託受益権、売却など、いずれのケースにおいても、専門知識や市場に対する理解が必要となります。知識を身につけることに加えて、これらに精通した専門家に頼ることも大切だといえるでしょう。
4. 土地活用(不動産活用)は目的から考え、専門家のアドバイスを受けよう
土地活用方法の種類や手法、失敗しないポイントについてお伝えしました。土地活用はさまざまな方法があり、目的に応じて向き・不向きがあります。そのため、土地活用を検討するなら、まず目的を明確にすることが重要です。
また、売却を視野に入れる場合は、優先順位やプロセスなどの戦略が大切です。この記事を参考に、土地活用の目的を明確にしたうえで、不動産を企業経営のプラスにできる資産にしましょう。
宅地建物取引士、FP2級技能士(AFP)
逆瀬川 勇造 氏
Yuzou Sakasegawa
明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事。
2018年より独立し、不動産に特化したライターとして活動している。