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【都市再開発特集】
関西における都市再開発の特徴と注目の3事例も紹介

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【都市再開発特集】関西における都市再開発の特徴と注目の3事例も紹介

関西エリアでは、阪神淡路大震災からの復興や観光地のインバウンド需要に合わせた都市再開発が行われてきました。現在も2025年大阪万博などへ向け様々な開発が進行中です。
関西エリアで不動産の購入・運用を考えているのであれば、都市再開発について知ることが第一歩となります。都市再開発について押さえておくと、関西の将来の形をイメージでき、投資時期や投資不動産の絞り込みに役立つでしょう。
本記事では大阪、京都、兵庫を中心に都市再開発の状況について事例を交えて解説します。

目次

  1. 都市再開発とは?
  2. 【主要エリア別】関西における都市再開発の特徴
    1. 大阪における都市再開発
    2. 京都における都市再開発
    3. 兵庫における都市再開発
  3. 【事例】関西で進む都市再開発
    1. 大阪駅前の貨物ヤード跡地:うめきたプロジェクト
    2. 京都駅:駅周辺の再開発事業
    3. 神戸市:新長田南再開発事業
    4. 神戸市:三宮「えき≈まち空間」基本計画
  4. 都市再開発から関西の将来を予想してみよう

都市再開発とは、都市の環境整備により、様々な課題を解決し、都市の機能性や居住性を向上させることをいいます。安心・安全で魅力ある都市を実現する、総合的なまちづくり施策ともいえるでしょう。詳しくは下記記事をご覧ください。

関連記事:【都市再開発特集】都心で進む都市再開発!都内の注目5エリアを紹介

ここから各エリア別に関西における都市再開発の状況や特徴を解説します。

大阪エリアは大きく「キタ(梅田・北新地)」と「ミナミ(難波・道頓堀)」に分けられています。近年における再開発の中心は「キタ」で、主要駅である大阪・梅田駅周辺の開発が進められてきました。このほか、昨今では2025年大阪万博が行われる「ニシ」エリアにも注目が集まっています。

大阪エリアの再開発は2025年の大阪万博後も続く予定で、阪急阪神ホールディングス(HD)が梅田1丁目1番地計画やうめきた2期に続く大規模プロジェクトを発表しました。2040年に向けた「長期ビジョン」では上記の再開発を「芝⽥1丁⽬計画」として位置づけています。

大阪駅の南側においても「ダイヤモンド地区」と呼ばれるエリアの“梅田のシンボルタワー”である「大阪マルビル」の建て替え計画を大和ハウス工業と大阪マルビルが発表し、2030年春にホテルや多目的のホール、オフィスからなる、現在よりも高層化したビルが誕生する予定となっています。

京都では2017年3月に閣議決定した「観光立国推進基本計画」をきっかけに、ここ数年ホテル開発が激化していました。

2020年以降コロナ禍を境に開発はやや抑えられていましたが、現在は新型コロナウイルスの収束を見据え、インバウンド需要や国内での観光需要の回復に合わせた京都駅周辺の再開発が加速しています。

兵庫においては阪神淡路大震災後の復興都市計画として大規模な事業であった新長田市街再開発の開始から27年が経過し、復興名目での再開発はほぼ完了しました。

税制・金融支援や都市計画の特例などが受けられる「都市再生緊急整備地域」や2025年の大阪万博へ向けて神戸三宮や三田駅周辺などで進められるプロジェクトへと次世代へ向けた再開発へと徐々に変化してきています。

ここからは関西で実際に進行中の都市再開発についてエリアごとに事例をご紹介します。

「キタ」エリアで進められている「うめきたプロジェクト」は大阪の再開発プロジェクトの中でも規模が大きく、現在は第2期工事の段階です。「Osaka "MIDORI” LIFE 2070の創造~「みどり」と「イノベーション」の融合拠点の実現~」をコンセプトとした大規模複合開発で、充実した都市空間の創造が進行しています。

北街区は敷地面積15,726㎡(東京ドーム約0.3個分)に地上28階地下2階・高さ150mと地上47階地下2階・高さ176mのビルが建設され、南街区は地上39階地下3階・高さ182mと地上51階地下2階・高さ185mの2棟が建設される予定です。

施設の詳細は多岐にわたっており、ホテル、イノベーション施設、プラットフォーム施設、都市型スパ、オフィス、商業施設、分譲住宅、駐車場などが設置される計画となっています。

さらに北街区には敷地面積20,000㎡、南街区は25,000㎡の都市公園も開発され、飲食店、売店、体験学習施設、備蓄倉庫、屋根付広場、屋根付野外劇場などが設置される予定です。

JR京都駅周辺エリアにおいては、北側の京都中央郵便局と隣接する立体駐車場を高さ60mの高層複合ビルに建て替える計画が進行中です。日本郵便と京都駅ビル開発が主導しており、2029年以降の開業を目指して開発が進んでいます。

地上14階、地下4階、延べ面積約130,000㎡(東京ドーム約2.8個分)の規模で、1~2階は商業施設、3~10階はオフィス、11階以上はホテルとなる予定です。

この複合ビル開発においては観光客の混雑が課題となっていた駅前バスターミナルの一部を同複合ビル1階へ移設するほか、災害時に帰宅困難者を受け入れられるよう防災備蓄倉庫を整備し、屋上は緑化して一般の方向けに開放する計画となっています。

神戸の新長田駅周辺は、平成7年1月17日の阪神淡路大震災により甚大な被害を受けた地域の1つです。そのため、市街地の復興と防災公園などを中心とした防災拠点の構築や、高品質な住宅の供給、地域活性化や都心拠点に適した都市機能の整備をはかるために都市計画が決定されたエリアです。

この都市計画は平成7年3月に市街地再開発事業として決定し、令和5年度に完了予定となっています。開発面積は199,000㎡(東京ドーム約4.3個分)、事業費は約2,279億円で、大きく3つのエリアに再開発ビル44棟、道路17路線、公園3か所を整備する予定となっています。

令和4年6月時点では、再開発ビル2棟(マンション、大学サテライトキャンパス)以外は完成しており、住宅供給は従前戸数1,500戸を超える賃貸891戸、分譲1,783戸、合計2,674戸が供給されたことにより居住人口も震災の起きた平成7年1月比1.4倍の約4,397人となっています。

神戸の玄関口である三宮周辺では、まず平成27年9月に神戸の都心の未来の姿を「将来ビジョン」として都心部における視覚的なイメージと街の将来像をとりまとめました。

同時期に三宮周辺地区の『再整備基本構想』の策定がなされ、神戸のシンボルとしての新しい駅前空間「えき≈まち空間」として新たにバスターミナルや歩行者デッキなどが整備される予定です。

この計画においては都心に備える8つの軸(景観、にぎわい、生活・居住、産業、観光・文化、防災、環境・エネルギー、交通)を実現する様々なプロジェクトが展開されています。主に「えき≈まち空間」の核となる取り組みとなる「三宮クロススクエア」(2029年度頃第一段完成)や、1日約1,700便が発着する中・長距離バスターミナルを集約した新たなバスターミナルをデザイン性の高いビル内に整備する予定など、複数のプロジェクトが進行中です。

都市再開発は数年から数十年に及ぶプロジェクトであり、長い時間をかけて都市が形作られていきます。都市再開発の現状認識と将来予測から、不動産の価値にどのような影響が及ぶかを想像してみることが不動産投資を行う上で重要となります。

関西で不動産の購入や運用を考えているのであれば、まずは都市再開発について情報収集することをおすすめします。

日商簿記 1級、税理士試験 3科目合格(簿記、財務諸表、消費税)、CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、プロフェッショナルCFO
大間 武 氏
TAKESHI OMA

飲食業をはじめ多業種の財務経理、株式公開予定企業などの経理業務構築、ベンチャーキャピタル投資事業組合運営管理を経て、2002年ファイナンシャル・プランナーとして独立。
「家計も企業の経理も同じ」という考えを基本に、「家計」「会計」「監査」の3領域を活用した家計相談、会計コンサル、監査関連業務、講師・講演、執筆など幅広く活動。